新型コロナ禍で外出する機会が減り,食事と運動のバランスが崩れて筋肉量が減って体重が増えた方も少なくないかとおもいます.かくいう私もそのクチです.
よりよいカラダをつくり,満足のいくパフォーマンスを発揮するには,どの栄養素も欠かせません.朝・昼・夜の3食が栄養補給のベース.バランスの良い食事と適度な運動が基本となります.さらに,3食の食事とは別に,さらに3食の食事とは別に,自分自身にとって必要でかつ補うべき栄養素を考える時期なのかもしれません.
そこで今回は,3食の食事プラス,補食(目的に応じて必要な栄養素を必要なタイミングでカラダに入れるもの),睡眠の重要性について考察してみたいと思います!
ダイエット・筋トレ|3食の食事を欠かさずに
ダイエットの基本は,エネルギー量の過剰摂取を抑えることです.
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)のポイント
とはいえ,ダイエットだからといって,欠食はオススメできません.体調を整え,健康的に筋肉量を落とさずやせるには,規則的な栄養補給は欠かせません.
ポイントはタンパク質,野菜,汁物.
主菜で肉や魚,卵,大豆などのタンパク質をしっかり摂ること.毎食1~2品!いろいろな種類を摂るように心がけましょう.
出典:写真AC
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副菜で,野菜,いも,きのこ,海藻など,カラダを整えるビタミン,ミネラル源をしっかりと.
汁物は,いろいろな食材を使って具だくさんに!最初に汁物を食べることによって,胃が消化の準備を始めます.
ダイエット・筋トレ|最も怖いのは「サルコペニア肥満」
エネルギー摂取量は,エネルギー消費量を上回る状態が続けば体重は増加し,逆にエネルギー消費量がエネルギー摂取量を上回る状態が続けば体重は減少します.
出典:日本人の食事摂取基準(2020年版)のポイント
気をつけるべきことは,BMI(ボディ・マス・インデックス)が18.5を下回るやせの人の体重増加です.
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(1980〜2017)によれば,筋量が減少して体脂肪が増加する「サルコペニア肥満」を招き,インスリン抵抗性と関連する代謝異常や高齢期のADL(日常生活動作)低下の原因となる可能性が指摘されています.
また,身体活動レベルによって,推定エネルギー必要量は300〜600kcalもの差が生じることがわかっています.とくに身体活動レベルが低い状態(具体的には,1日中自宅にいてほとんど外出しない状態で過ごす場合を想定)は望ましくなく,エネルギー摂取量を少ないエネルギー消費量に合わせるのではなく,少なくとも自立して日常的に外出して身体活動量を増加させることが重要です.
ダイエット・筋トレ|筋量を増やし体脂肪を減少させる
効率よく,選択的に脂肪量を減らすようにしたいものですよね.せっかくダイエットしても筋肉量も同時に減らしてしまっては元も子もありません.効率的に筋タンパク質を増やすには,運動直後および就寝前にタンパク質を摂取することが良いと考えられています.
図:トレーニング後の時間経過と筋タンパク質合成速度の相関
出典:
Nutritional regulation of muscle protein synthesis with resistance exercise: strategies to enhance anabolism|Nutrition & Metabolism
https://doi.org/10.1186/1743-7075-9-40
また,筋タンパク質は寝ている間につくられます.睡眠時間を削るのはダイエットの敵ですので,可能な限り避けて疲労回復に努めたいものですね.
出典:
The Impact of Pre-sleep Protein Ingestion on the Skeletal Muscle Adaptive Response to Exercise in Humans: An Update
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6415027/
ダイエット・筋トレ|睡眠が充分取れないストレスが過食につながる可能性
睡眠時間を意識的に確保することはたいへん重要です(自分自身が睡眠不足であることへの自戒をこめて).また,無呼吸症候群(OSAS)と肥満についても密接な関係が指摘されています.充分な睡眠時間が確保できているはずなのに,昼間の眠気が強い場合は,OSASを疑ってかかった方が良いかもしれません.
肥満と睡眠時無呼吸症候群(OSAS)には密接な関係があるが,肥満が原因のOSAS症例には単に減量を指導してもほとんどダイエットに成功しない.その理由はOSAS症例は睡眠が充分とれないストレスで食事を多く摂取し,肥満が増大することに加え,昼間の眠気が強く,活動性が乏しいので消費カロリーが少なく,やせることが難しいからである.
出典:服部 親矢, 4.肥満解消と睡眠体位の重要性について, 口腔・咽頭科, 2002-2003
https://doi.org/10.14821/stomatopharyngology1989.15.1_147
睡眠の質については,FitbitやPolar Igniteのようなフィットネストラッカーでトラッキングすることができますので,自身の睡眠の質はウォッチしておいたほうがよいでしょう.
ダイエット・筋トレ|「ホエイプロテイン」「必須アミノ酸高配合ホエイプロテイン」で筋肉量を増加させ脂肪量の減少を目指す
ホエイプロテインは,乳清由来のタンパク質で,様々なメーカーから販売されています.
NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)のアトランタホークスのスポーツ栄養士を務めるMarie Spanoは,ヨーグルトやオートミールといった食品にホエイプロテインを加えることを提案しています.また,脂肪を多く含むピーナッツバターのような食品と組み合わせることを勧めています.また,ホエイプロテインには筋肉増強を「オンにする」ために必要とされる必須アミノ酸であるロイシンを多く含んでいます.
出典:12 Whey Protein Powders to Add More Muscle|Men’s Health
https://www.menshealth.com/nutrition/g19547347/best-whey-powder-review/
また,一般的なプロテインとの比較データで,筋肉量を増加させ脂肪量を減少するには「必須アミノ酸高配合ホエイプロテイン」の摂取が統計学的に優位な差が認められたとの報告もあります(出典:メーカー社内データ).
出典:
トレーニングによる筋肉量アップの効率を上げる『必須アミノ酸高配合ホエイプロテイン』|アミノ酸スポーツ栄養科学ラボ
https://www.ajinomoto.co.jp/kfb/sportsamino/knw06_wheyprotein.html
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これまでプロテインというと,スポーツジムで筋トレをメインに取り組むマッチョな方々の補食というイメージで,ダイエットという観点からの興味はまったくなかったのですが,先日オンラインサイエンスカフェに参加して,『必須アミノ酸高配合ホエイプロテイン』の話を聞く機会があり,少しこのあたりの考えを見直すきっかけとなりました.
「日本人の食事摂取基準」を引用するまでもなく,運動量が違ってくれば1日に必要なタンパク質量も違ってくるのも確かにその通りかと思います.補食も含めて,たんに運動と食事のバランスを縮小均衡させるというのではなく,健康であり続けるための「あるべき均衡」を目指して日常生活を送ることが,コロナ禍が収束しきれていない今だからこそ求められているのでしょうね(K.T).