【情報更新】ジャガイモの天然毒素ソラニンは水溶性!ジャガイモをおいしく安全に食べるには?

2019年7月9日,宝塚市の小学校の校内の畑に植えられたジャガイモを使って調理実習が行われ,調理されたジャガイモを食べた児童が食中毒を起こして病院に救急搬送されるという事案が発生し,マスコミ各社がこぞってニュースに取り上げていました.

おいしいものにも毒がある ~ジャガイモのキケン~|NHK News Up

国内で報告された食中毒のうち,自然毒を原因とする食中毒で,なかでも高等植物による食中毒として広く知られているがジャガイモです.ジャガイモの食中毒は一年を通じて発生していますが,とくに食中毒の発生が多いのが,新芽が出てくる4月から5月の時期になります.ジャガイモの毒素は,ソラニンやチャコニンといった有害成分が知られていますが,ピーリング(皮むき)して芽の部分をカットすれば食中毒が防げるかというと,そうとは限りません.芽が出たジャガイモを食べることは問題外ですが,発芽しなかった芯が硬くなっているジャガイモ,光があたって皮が緑色になったジャガイモ,十分育っていないジャガイモには,ソラニンやチャコニンが多く含まれているので食べないようにしましょう.



ポテトチップスのジャガイモは水洗してから高温の油で揚げるのでソラニンの毒が問題にならない

ポテトチップスのジャガイモは,原料芋を水洗し,ピーラーで表面部分を剥ぎ落とし,さらに芽の部分をカットしてからフライヤーで高温の油を使って揚げています.そのため,ジャガイモの加工食品であるポテトチップスの場合は,ソラニンやチャコニンといったジャガイモに含まれる有害成分よりも,むしろ原材料に含まれる一部のアミノ酸や糖類がフライヤーで揚げられた時に起こる化学反応によってできるアクリルアミドのほうが問題になるのです.

参考:
食品中のアクリルアミドに関する情報|農林水産省
安全で健やかな食生活を送るために ~アクリルアミドを減らすために家庭でできること~(詳細版)|農林水産省

ソラニンは水溶性で水洗によって減らすことができるが熱分解はしない

未熟なジャガイモや芽が出たジャガイモを,そのまま皮もむかずに食べることは基本的にはないと信じたいところですが,最近の,特に学校現場において多く発生している食中毒事案を見ていると,ジャガイモを喫食する際に注意すべきことがほとんど意識されていない例が散見されます.

1.芽の部分は必ずカットする
2.皮も必ず剥く
3.光合成によって緑色に変色したものは,皮を剥いてもソラニンが残っている可能性があるので食べない
4.皮を剥いた後も水でよく洗い流す

参考:
ソラニンやチャコニンの加熱調理による影響|農林水産省

ジャガイモは冷蔵庫に入れると早く傷むこともある

ジャガイモの保存には,遮光と乾燥が重要です.遮光は,文字通り光を遮ることによってジャガイモじたいの光合成をシャットアウトするということです.乾燥は,濡れ芋が湿気でかびて腐れが発生する例を想像していただければ概ね推察がつくかと思いますが,ジャガイモ保存の絶対条件です.

冷蔵庫に入れて保管するというのもジャガイモにとっては曲者で,そのまま冷蔵保管すると逆に乾燥しすぎてしわしわになってしまいます.また,低温で保管することにより糖度が上がるため,揚げた際のカラーが濃くなるという問題も発生します.短期間であれば常温保管が良いのですが,喫食にやや時間を要する場合は野菜室のような冷えすぎない場所に保管することをオススメします.

原種はもともと,ソラニンを多く含むためにそのままでは食べることができませんでしたが,アンデスの山岳部では凍結融解を繰り返して水分を取り除き,水に浸漬し乾燥する過程を経ることによって食べられるということを,食習慣の知恵として伝承してきました.ジャガイモはやせた土地や寒冷地で生育するため,ふるくから栽培種の開発が行われてきました.しかし現在ではジャガイモはそもそも食中毒を起こし,場合によっては人を死に至らしめる有害成分を含んでいるという事実さえも知らずに学校教育の現場で喫食が行われ.今回に限らず,恒例行事のごとく度々食中毒事故を起こして都度ニュースになっています.ジャガイモに限らず,栽培品種の育成の歴史や背景は決して知っておいて損はないとおもいます.むしろ,サバイバルのために自ら積極的に知っておくべきことであると言えるのかもしれませんね.(K.T.)