【新型コロナ】ラクトフェリンの効果に注目!免疫力を高めて新型コロナウイルスの感染に備える(中国国家衛生健康委員会「新型冠状病毒感染的肺炎防治栄養膳食指導」を追記)

☆☆ラクトフェリンの新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) に対する効果は仮説の検証段階であって,現段階において科学的に証明されているわけではありません☆☆

<<↓↓ラクトフェリンの新型コロナウイルス肺炎の予防と治療に関するプレプリント(査読前論文)の紹介記事を公開しました↓↓>>
【研究論文】「ラクトフェリンが新型コロナウイルス肺炎の予防と治療に有用である可能性」


COVID-19をはじめ,ウイルス感染症の予防には,ふだんの栄養と十分な睡眠が欠かせません.さらに食べ物に気をつけることで,少しでもウイルス感染症予防につながることはないでしょうか.4月16日に行われた政府の対策会議で,新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく「緊急事態宣言」が全国に拡大,パンデミックの危機が迫る中,ちょっとしたことでも気になりますよね.かくいう私自身も非常に気になっています.

そこで,SARSコロナウイルスの侵入を阻害することが知られているラクトフェリンについて,論文サーチして調べてみました.

また,2月8日に発表された,中国国家衛生健康委員会の「新型コロナウイルス感染による肺炎の予防と治療のための栄養食に関するガイドライン」(新型冠状病毒感染的肺炎防治栄養膳食指導)についても,ラクトフェリンの重要性について言及されていましたので,合わせてご紹介したいと思います!


出典:中華人民共和国中央人民政府ウェブサイト




SARSコロナウイルスで得られた科学的知見を新型コロナウイルスに応用する

日本ウイルス学会は,日本のウイルス研究者を代表する機関として組織された学会です.
その日本ウイルス学会が2月10日付で「新型コロナウイルス感染症について」というタイトルで,医療関係者および一般向けに情報提供を開始しました.

 ヒトに感染するコロナウイルスとしては、風邪の原因ウイルスとしてヒトコロナウイルス229E、OC43、NL63、HKU-1の4種類、そして、重篤な肺炎を引き起こす2002年に発生した重要急性呼吸器症候群 (SARS)コロナウイルスと2012年に発生した中東呼吸器症候群 (MERS)コロナウイルスの2種類が知られています。
今回発生している新型コロナウイルスは、SARSコロナウイルスと同じベータコロナウイルス属に分類され、新型コロナウイルスの遺伝子はSARSコロナウイルスの遺伝子と相同性が高く(約80%程度)、さらに、SARSコロナウイルスと同じ受容体 (ACE2)を使ってヒトの細胞に吸着・侵入することが最近の研究で報告されています。
すなわちSARSコロナウイルスで得られた科学的知見を新型コロナウイルスに応用することで、基礎・応用研究を迅速に行うことができ、新型コロナウイルスのウイルス学的特徴を素早く明らかにすることができます。

新型コロナウイルス感染症について|日本ウイルス学会

新型コロナウイルス感染症に対する知見はまだ整備途上にあります.でも,「SARSコロナウイルスで得られた科学的知見を新型コロナウイルスに応用」し,行動に移すことは今からでも十分できます国からの指針が出るのを待つことなく,日々の食べ物を工夫して自らの免疫力を高め,ウイルス感染に備えておくことは,危機的状況下でもたくましく生き残るためには決して無駄にはならないと思います

ラクトフェリンは新型コロナウイルスの遺伝子配列と79%一致するSARSコロナウイルスの感染を阻害する

ラクトフェリン(LF)は,牛乳の乳清から分画される糖タンパク質のひとつで,
1)抗菌・抗ウイルス活性
2)ビフィズス菌増殖促進作用
3)免疫調節作用
4)抗酸化作用
5)鉄吸収調節作用
といった,多様な効果が知られています.

SARSとラクトフェリンで論文サーチすると,以下のような論文がヒットします.

Inhibition of SARS Pseudovirus Cell Entry by Lactoferrin Binding to Heparan Sulfate Proteoglycans|PLOS ONE

SARSは,SARSコロナウイルス(SARS-CoV)による全身性の感染症で,2003年に世界的なアウトブレイクを起こした疾患です.

一方,ラクトフェリンはNK細胞の活性を高め,好中球の凝集と接着を刺激することにより,SARS-CoVの侵入に対する宿主免疫応答に関与することが報告されています.この研究では,様々な濃度でラクトフェリン処理したSARSシュードウイルスを培養細胞に添加し,ラクトフェリンがウイルス感染に及ぼす効果を確認しました.その結果,ラクトフェリンの濃度依存的にSARSシュードウイルスの感染が阻害されることが確認されました.

SARSコロナウイルスの感染には,細胞外マトリクスの主要構成成分である,ヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)が関与していることが知られています.ラクトフェリンは,このHSPGにSARSコロナウイルスが結合することでSARSウイルスの感染をブロックすることが考えられます.

新型コロナウイルス(COVID-19)の遺伝子配列はSARSのそれと79%一致することが,既に明らかとなっています.そのため,SARS-CoV-2とも命名されているように,SARSコロナウイルスと類似の感染経路をたどるものと考えられています.

ラクトフェリンがSARSコロナウイルスの感染を阻害することは,既に明らかとなっていますから,新型コロナウイルス感染症の予防にラクトフェリンを意識的に摂取することは,決して無駄にはならないと思いますし,もはや科学的なエビデンスが出るまで何年も待つべき状況ではないと思います.

ラクトフェリンとSARSウイルスの拮抗作用

中国国家衛生健康委員会「新型コロナウイルス感染による肺炎の予防と治療のための栄養食に関するガイドライン」でラクトフェリンを豊富に含む乳製品(特にヨーグルト)の摂取を推奨

中国国家衛生健康委員会は,2月8日,「新型コロナウイルス感染による肺炎の予防と治療のための栄養食に関するガイドライン」(新型冠状病毒感染的肺炎防治栄養膳食指導)を公開しました.

このガイドラインでは,一般市民がより多くの牛乳,野菜,大豆を食べること,毎日果物を食べること,牛乳と様々な乳製品を食べることを推奨しています.具体的には1日牛乳および乳製品を合わせて300グラム,特にヨーグルトの摂取を勧めています.
日本でここまで踏み込んで書かれたガイドラインは,なかなか見る機会がありません.武漢をはじめ,全土で多くの感染者,死者をもたらした中国ならではの危機意識から,詳細なガイドラインの公開に向かわせたのだろうと思います.

「乳製品,特にヨーグルトの摂取が新型コロナウイルス感染による肺炎の予防と治療に重要」

今回公開された食事ガイドラインでは,
通常もしくは回復期の患者に対し
1日あたり たまご1個,牛乳および乳製品300グラム
を摂取するように推奨しています.重症患者に対しては.
たまご,大豆および大豆製品,牛乳および乳製品
を主として十分な品質のタンパク質の摂取を心がけることを勧めています.

良質なタンパク質を摂って,ウイルス感染に備えるということですね!

この食事ガイドラインは,食品栄養を疾患治療の重要なポイントと捉え,免疫力を高めることによってより迅速により良い自己治癒と回復に努めるべきという考えのもとにつくられています.その中でも乳製品,特にヨーグルトは食事ガイドラインにおいて核となる推奨食品に位置付けられています.

「ヨーグルトに含まれるプロバイオティクスは,ヒトの免疫細胞を刺激し病気に対する抵抗力を高める」

北京協和医科大学附属病院(北京協和医院)臨床栄養科副主任の陳偉教授は,タンパク質は生命の基盤であり,重要な生理機能を果たしていると語っています.


出典:北京協和医科大学附属病院(北京協和医院)ウェブサイト

さらに,乳タンパク質は腸細胞の成長に有益で,ヨーグルトに含まれるプロバイオティクスはヒト免疫系の細胞を刺激することが研究によって示されており,乳幼児や,免疫系が損なわれた人たちの栄養補助成分として,病気に対する抵抗力を高め,病気になる可能性を減らすことができると述べています.
プロバイオティクスそのものは,それほど目新しいものではありません.しかしながら,この世界規模の感染拡大の中で,特にプロバイオティクスの重要性に言及しているというところが注目すべきところなのだと思います.

「乳製品に含まれるラクトフェリンは,免疫力を高める核となるタンパク質」

現在,新型コロナウイルスの治療に有効な薬剤はありません.しかし,新型コロナウイルスとの戦いは免疫防御システムの戦いであることから,乳製品に含まれ,免疫力を高める核となるタンパク質であるラクトフェリンがそのソリューションとなる可能性があるとしています.

ラクトフェリンは中国栄養協会母子栄養支部「乳児および幼児におけるラクトフェリンの健康への影響に関する専門家コンセンサス」で認められた栄養成分

ラクトフェリンは細胞膜を破壊し,広範な抗菌,抗ウイルス,抗真菌効果が認められています.2016年,米国FDAがラクトフェリンの安全性を認めたため,中国を含む一部の国々では乳幼児用調製粉乳に添加されるようになり,2018年には中国栄養協会母子栄養支部が「乳児および幼児におけるラクトフェリンの健康への影響に関する専門家コンセンサス」を発表,乳幼児にも認められた栄養素として確立しました.

新型コロナウイルス感染拡大を防ぐためには,成人のみならず,乳幼児に対しても免疫防御システムを構築し備える必要があるとしています.
個人的には,高齢者に加え,新生児,未熟児こそウイルス感染症の罹患に注意すべきものと考えています.

新型冠状病毒感染的肺炎防治营养膳食指导|中华人民共和国中央人民政府

《新型冠状病毒感染的肺炎防治营养膳食指导》强调乳制品重要性|新闻网

乳制品知识科普:不同种类酸奶含有不同营养价值|央广网

ラクトフェリンが多く含まれている食品

ラクトフェリンは,主に乳汁中に存在する糖タンパク質で,牛乳や乳製品等の食品に多く含まれている(ただし,高温で殺菌した牛乳や乳製品にはほとんど含まれていない)ほか,機能性表示食品,サプリメント,食品添加物,化粧品原料などとしても広く利用されています.

低温度殺菌牛乳やヨーグルトとかだと,スーパーなどの日常の買い物で手軽に手に入りますよね♪

非加熱・低温殺菌牛乳

想いやり生乳|想いやりファーム(旧中札内村レディースファーム)

日本で唯一,加熱しないで飲める生乳です.搾乳後8日間を賞味期限に設定しています.

この投稿をInstagramで見る

丸石泰裕(@marusan7)がシェアした投稿

本物のしぼりたて。 北海道の「想いやり生乳」は究極の味わい|macaroni

北海道よつ葉牛乳|よつ葉

72℃15秒間殺菌で,タンパク質の熱変性が少ないパスチャライズ牛乳です.


出典:よつ葉牛乳ウェブサイト

函館3.8牛乳|函館牛乳

65℃低温殺菌をそのままびんに充填しています.酪農家限定の『緑と牛と大地』低温殺菌牛乳もあります.


出典:函館牛乳ウェブサイト

低温殺菌牛乳|タカナシ乳業

連続パスチャライゼーションシステムを採用,66℃30分で時間をかけて殺菌しています.


出典:タカナシ乳業ウェブサイト

みんなの牛乳|東毛酪農業協同組合

63℃30分でゆっくり殺菌されており,生乳の成分が生きています.


出典:東毛酪農業協同組合ウェブサイト

蒜山高原ジャージー低温殺菌牛乳|蒜山ジャージー牛乳岡山販売

搾ったままのジャージー牛乳の風味を損なわないよう殺菌のみを行っています.

ラクトフェリンを謳った加工食品

ラクトフェリンヨーグルト|森永乳業
ラクトフェリンFe|森永乳業
カラダ強くするヨーグルト|森永乳業

いずれも,ナチュラルチーズ製造工程で得られた乳清(ホエイ)から抽出したラクトフェリンを製品中100mg配合しています.

ラクトフェリンを主成分とするサプリメント

ラクトフェリンオリジナル|森永乳業

1日目安分(6粒)に600mg配合しています.

ラクトフェリン+乳酸菌|ホコニコ

1日目安分(2粒)に300mg配合しています.

腸まで届けるナイスリムエッセンス ラクトフェリン|ライオン

1日目安分(3粒)に300mg配合しています.

健康道場 ラクトフェリンS|サンスター

1日目安分(6粒)に270mg配合しています.

アポラクトフェリンパウダー|アップウェル

健康補助食品の牛乳由来ラクトフェリン(アポラクトフェリン)の粉末です.
1日の使用目安量は約100~400mgとしています.


一番どこでも手軽に入手可能なのは,低温度殺菌牛乳でしょうか.銘柄は特に問いません.
新型コロナウイルス禍で小中学校が休校になっている関係で生乳がだぶついているようですので,酪農を応援するためにも牛乳を積極的に摂取するのはお勧めですね.

日本では,新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴いラクトフェリンに対する注目度が急速に高まっているように感じますが,COVID-19の震源地である中国でも「新型コロナウイルス感染による肺炎の予防と治療のための栄養食に関するガイドライン」がとりまとめられ,ラクトフェリンの重要性が語られるようになると,さらにラクトフェリンがブレイクするのではないかというふうに思いました.折しも,全国各地で学校給食の供給がストップし,牛乳や乳製品がだぶついて酪農業が厳しい状況にあるとも伝え聞いています.

ラクトフェリンは,チーズ製造の際に大量に発生する水分(乳清)に多く含まれていますので,チーズ職人は乳清を飲んでラクトフェリンを摂取できる環境にいるということになりますね.(K.T.)

<<ラクトフェリンに言及した関連記事>>
【研究論文】「ラクトフェリンが新型コロナウイルス肺炎の予防と治療に有用である可能性」
新型コロナ感染予防!免疫力向上は腸内環境の改善から【徳島新聞】
【情報更新】納豆の魅力は独自の抗菌ペプチド?!新型コロナウイルスに対する抗ウイルス活性への期待【ZIP!】【めざましテレビ】



コメント

  1. やすし より:

    COVID-19の感染が落ち着いてきましたが、第二・第三の感染が広がる可能性もあります。非加熱乳製品にだけ含まれる「ラクトフェリン」が、免疫力を助ける事もラクトフェリン学会の論文で数多く発表されており、研究論文が無いだけで消費者庁などが免疫力向上に効かないと判断していることに抗議したい。

     妻の乳癌治療で乳房の切除、抗がん剤の副作用で、免疫細胞の好中球=白血球の一種で一番多い種類が急激に減少。細菌が腕に入り、腫れあがる炎症が発症。好中球を増やす薬の投与でも増えなかったため、抗がん剤の使用が中止になる予定でした。いろいろ探し、見つけたのが「ラクトフェリン」でした。動物実験の論文で好中球が元々少ない動物に、ラクトフェリンを摂取させ続けた場合にだけ増加することがわかりました。これのおかげで免疫力が安定し、最後まで抗がん剤治療が行われた。
     
     行政でも機能性食品の申請を簡素化して、人のためになる食品素材を認めるべきである。COVID-19の感染未発症の人が多いのは、免疫力の強い人だけです。国民を守るのが行政の仕事で有ることを理解し、弱者を守るためにも「ラクトフェリン」を理解してほしい。