全国で新型コロナウイルス感染の緊急事態宣言が解除され,全国で最も感染者数の多い東京都では,6月1日から休業要請の段階が「ステップ1」から「ステップ2」に移行,飲食店の営業時間の短縮要請も緩和され,緊急事態宣言が出される前の生活様式に戻りつつあります.
しかし,日々の新規感染者数がいまだ予断を許さない状況にあり,「東京アラート」とよばれる警戒の呼びかけが続いています.
こんな中,私たちが安全安心に外食できる飲食店はどれだけあるのでしょうか.食は,一義的にはおなかを満たし人々の命を支えるものですが,それだけではありません.
食べることそのものが生きていく上での楽しみであり,外食などを通じてふだん簡単には食べられないものを食べる行為そのものが生きることだと考える方も多いことでしょう.そこで今回は,新型コロナウイルスの感染リスクを警戒しつつも安全安心に外食を楽しむためのポイントを追っていきたいと思います!
「住民とともに作る地域医療」の最前線に取り組んできた鎌田實医師が名誉院長を務める,諏訪中央病院(長野県茅野市)は,茅野市や茅野飲食店組合,チームちの飲食業協力組合の制作企画で,ウィズコロナ時代のいま,安全安心に飲食店を利用するときに気をつけるべきポイントをまとめた動画を公開しました.
ウィズコロナ・飲食店|飲食店を安全に利用するためのポイント1- 感染の可能性があればお店に行かない
他人から新型コロナウイルスの感染を心配する前に,自分自身が他人のウイルス感染源にならないように心がけることが重要です.感染の可能性がある人と,近距離でマスクなしで接触したことがある場合も,外食は率先して避けるべきでしょう.
日本ではまだあまり普及していませんが,アフターコロナの中国においては飲食店に入る前には必ずと言って良いほど体温測定が行われ,名前と連絡先の記帳が求められます.これも,感染の可能性がある人がお店に入ることをできる限り水際でせき止め,感染拡大につながらないようにするということを第一優先にしているためかと思います.
ウィズコロナ・飲食店|飲食店を安全に利用するためのポイント2- 大人数で利用しない
歓送迎会などで「リアル」飲み会を行う場合も,大人数で近い距離で飲食をともにするのは,ウィズコロナの現段階においてはきわめて危険です.仮にもし,一緒に飲食する人たちの中に不顕性の感染者がいた場合,一度にたくさんの人がウイルス感染してしまう恐れがあります.
大人数であっても,オンライン会議のブレイクアウトルームのように,それぞれ小さなグループに分かれ,各人が距離を置くことによって,不慮のウイルス感染を最小限に抑えることができます.ビフォアコロナでは当たり前にできたことが,いまはできなくなってしまって悲しいことと受け取られるかもしれませんが,まずはいのちを守ることを最優先に考えましょう.
ウィズコロナ・飲食店|飲食店を安全に利用するためのポイント3- 大声を出さない,咳エチケットをする
ふだんは飛沫感染防止の観点からマスクを着用する人であっても,マスクを外さないと飲食はできませんよね.でも,大声で話をすると声とともにウイルスを含んだ微粒子が舞い,感染するリスクが一気に高まります.ひとりが大声を出し始めると,大声競争のようになって喉が荒れる原因にもつながります.
緊急事態宣言解除の後,営業再開したスポーツジムでさえ,利用者に対して運動中にマスクの着用を要請し,大声を出さないように注意喚起するほどです.
声量によっても飛沫の飛び方が変わりますので,特に食事の席で大声を出すのは禁忌ということで.また,咳やくしゃみが出そうになったら,マスクをするかタオルで口を押さえるかなどして.少なくとも公共の場所では飛沫が飛び散るのを避けましょう.
ウィズコロナ・飲食店|飲食店を安全に利用するためのポイント4- お店に入る時,出るときに手指消毒
お店に入るときはもちろん,お店を出るときにもアルコールなどで手指消毒をしましょう.
原則は,ウイルスをお店に「持ち込まない」,お店から「持ち出さない」です.アルコールなどがなくても,水道でよく手を洗うだけでも効果は十分ありますので,とにかく流水で15秒以上手を洗いましょう.
ウィズコロナ・飲食店|飲食店を安全に利用するためのポイント5- 長時間滞在しない
時間が長ければ長いほど,なかに(不顕性を含め)ウイルス感染者がいた場合の感染リスクが高まります.ウィズコロナのいまは,食事が済んだら名残惜しくても長居せずに早めに店を出ること(自分自身だけでなく,まわりのほかの皆さんのためにも)に努めましょう.
以上,上記5つをまとめるとこうなります.
ウィズコロナ・飲食店|飲食店を安全に利用するためのポイント6- 感染防止に配慮し安全に営業しているお店を選ぶ
茅野市がある長野県では,事業者が自ら適切な感染防止策を宣言する「新型コロナ対策推進宣言の店」を実施,県内の経済活動の再開・需要喚起を図る後押しをしています.
出典:長野県
動画の中では,
・窓や入り口ドアを開放して換気を行う
・お店の人がが顧客に対して「愛をもって」対人距離を確保する
・大皿料理は,顧客に代わってお店の人が取り分ける
・キャッシュレス決済を導入し,感染リスクの高いお金に触れる機会を減らす
・距離を取れない場合は間仕切りを置く
・テイクアウトメニューをつくり,非接触の受け渡しを行う
・飲食店を安全に利用するためのポイントをまとめた紙を用意しテーブルに置いておく
ことが挙げられていました.
「新型コロナ対策推進宣言の店」制度は長野県独自のものですが,他県の類似の制度がない場所であっても,外食する場合は,感染防止に配慮し安全に営業しているお店を可能な限り選択的に利用することが,ウィズコロナ時代のいまだからこそ重要になってきていると思います.
岐阜県飛騨市では,コロナ対策“安全安心宣言”事業者等応援事業の一環で,コロナ対策の飲食店に対し,安全安心の登録制度を開始するということがニュースになりました.
出典:飛騨市
また,岡山市でも「おかやま飲食店イートイン安全安心宣言」を作成,コロナ対策の飲食店に対して宣言ポスターを店舗に貼ってもらい,市のお墨付きを与えることによって地域の利用者に対する安全安心を可視化する取り組みを始めています.
出典:岡山市
「おかやま飲食店イートイン安全安心宣言」を作成しました|岡山市
こういう取り組みを率先して行う自治体は,利用者目線の感度が高いと感じます.
その他の自治体においても,単に飲食店の利用促進を経営面からサポートするというだけにとどまらず,地域の人たちが安全に飲食店を利用でき,飲食業の方々も安全に仕事できる飲食店にしていく取り組みが展開されていくことを強く希望しています(K.T).