ガラナ飲料とガラニン,そしてガラビーの登場

滋養強壮飲料として知られるガラナ飲料.ホッピービバレッジ,小原などからはコアップガラナ,セイコーマートからはガラナエール,キリンからはキリンガラナという名称で販売されています.また,ブラジルからもガラナアグアナボカという国民的な人気のガラナ飲料が輸入販売されています.さらに最近では,コアップガラナと生ビールを4:6で割ったビアカクテル「ガラビー」が話題となっており,再びガラナ飲料が脚光を浴びています.

ガラナ飲料に含まれるガラニンはカフェインと違って遅効性

ガラナ飲料には,コーヒーやエナジードリンクに含まれるカフェインに匹敵する成分としてガラニンが含まれています.ガラニンは,吸収も効果の出方も早いカフェインと違って,吸収速度が緩やかで覚醒効果も長く続く特徴をもちます.頭をスッキリさせたい時にはうってつけの飲み物といえます.とはいえ,ガラニンには胃酸などの分泌抑制,腸液分泌亢進作用,さらに脂肪食の摂食促進作用などがあるために,消化管の機能障害や肥満症状を起こす可能性も指摘されていますので,飲み過ぎには注意が必要かとおもいます.




ガラナ人気に火をつけた「ガラビー」

「ガラビー」は,ジンジャエールとビールのカクテルであるシャンディガフにヒントを得て,コアップガラナとビールをカクテルにしたものです.函館市内の居酒屋が試しにメニューに載せたところ,人気に火がつきました.2018年5月には「函館ガラビー協会」が設立され,函館市内の各所で飲めるようになりました.ビールをコアップガラナで割っているのでアルコール度数も下がり,昨今好調な低アルコール市場における新しいジャンルの飲み物として認知度が上がってきています.飲み会で,いつも二日酔いに困っている方々にとっては朗報と言えるかとおもいます.

ガラナは,アマゾン川流域の先住民族に長年万病の薬として珍重されてきた植物で,ブラジルに入植してきた日本人が1928年にプランターとして栽培を計画したということです.ガラナは,もともとむかしからアマゾンに自生していたので,先住民族の人たちにとっては古くから知られた存在でしたが,ガラナの粗精製に成功し商業化につながったのは1921年のことで,商品としてのガラナ飲料の歴史はまだ1世紀に満たないのです.清涼飲料市場におけるコーラとの熾烈な競争により,日本では北海道を除くとガラナ飲料はそれほどメジャーな存在ではありません.コーヒーやコーラ飲料と同様,飲み過ぎによる弊害も懸念される一方で,日本国内では寡占的な市場環境までには至っておらず,「ガラビー」のようなビールと掛け合わせることによる新たな需要喚起が起こりつつあるガラナ飲料の今後の行方が楽しみです.(K.T.)