水筒にスポーツドリンクを入れると食中毒になるというのは本当か

水筒にスポーツドリンクを入れて飲んだ経験はおありですか?

特に夏場の熱中症対策として,保冷機能のある水筒にスポーツドリンクを入れ水分補給する方も多くおられるのではないでしょうか.

しかし,水筒にスポーツドリンクを入れて飲んだ結果,食中毒を起こすリスクがあり,実際食中毒を起こした事案も確認されています.

水筒には,通常の飲み物であれば何を入れてもよいと考えてしまう方もおられるのではないかとも思います.屋内外を問わず,様々なシーンで補水に使われるスポーツドリンクを,手持ちの水筒に保存することのベネフィットだけでなく,考えうるリスクについてもきちんと押さえておきたいですよね.

ここでは,なぜ水筒にスポーツドリンクを入れると食中毒になる可能性があるのかについて,詳しく紹介していきたいと思います.


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水筒にスポーツドリンクを入れたことによる食中毒の症状とは

水筒にスポーツドリンクを入れ,食中毒になってしまうとおう吐やめまい,頭痛や腹痛などの症状があらわれます.

安静にしていれば症状がよくなる場合も多いのですが,状況によっては病院で治療や入院が必要となる可能性もあることから,食中毒といっても安心しすぎないようにしましょう.また,食材から食中毒になった経験がある人も多いのではないでしょうか.

スポーツドリンクが原因での食中毒も,他の食材からなる食中毒と症状に大差はありません.スポーツ前後の水分補給は推奨されていますが,マイボトルにスポーツドリンクを入れ,大量の水分を摂取したのち,めまいやおう吐などの症状があらわれた場合,スポーツドリンクの保存に適していない水筒に入れてしまったことが原因である可能性が考えられます.症状の具合にもよりますが,しばらくは激しい運動などができなくなるだけではなく,食事が満足にできない状態になることも想定されます.

水筒にスポーツドリンクを入れると金属が溶出してしまう可能性がある

なぜ,水筒にスポーツドリンクを入れることで食中毒になるのか理解しづらい方もおられるのではないでしょうか.

スポーツドリンクで食中毒になってしまう原因は,スポーツドリンクが酸性であることと,水筒が金属製であることが大きく関係しています.

酸性の水溶液は金属成分を溶かす特性をもっており,金属でできた水筒の内部を徐々に溶かしてしまいます.溶出した金属が,スポーツドリンクと一緒に体内に入ることによって食中毒になってしまうことがあります.

冷静に考えれば,酸性であれば金属を溶かす可能性があることが分かりますが,そもそもスポーツドリンクが酸性であるというイメージがありませんよね.

また酸性と言えば,充てた漢字のイメージから,なんとなく酸っぱいものというイメージがあるかもしれませんが,必ずしも酸性の飲み物イコール酸っぱいというわけでもありません.例えば,ガラナやコーラ,ジュースといったものも酸性の水溶液ですが,ジュースはともかく,ガラナやコーラを酸っぱいと思う方もほとんどおられないと思います.

逆にすべてのスポーツドリンクが酸性というわけでもなく,スポーツドリンクではなくてもガラナやコーラ,ジュースといったなどの飲み物も水筒に入れることはおすすめできません.金属容器の中の銅が溶け出して中毒を起こす危険があります.ただ,炭酸系の飲料を水筒にいれて持ち運ぶ方が少ないのは,炭酸が抜けて美味しくなくなるからとか,炭酸系の飲料だと酸性に偏っているから水筒に入れたらよくないと,感覚的に容器の移し替えを避けているということがあるのかもしれませんね.

水筒にスポーツドリンクを入れたいなら使用可能なタイプを購入しよう

夏場などには,PETボトルに入った状態ではなく,冷えた状態のスポーツドリンクを水筒に移しかえて,熱い体を冷やしつつ水分補給をしたいと考える方も多いのではないでしょうか.

食中毒の危険性を知ると,そのような飲み方は金輪際できないかもと思われてしまうかもしれませんが,食中毒になってしまう条件を満たしていない水筒であれば問題ありません.

スポーツドリンクで食中毒になる原因は,スポーツドリンクが酸性であることと,水筒が金属であることです.そのため,酸性ではないスポーツドリンクであったり,金属製でない水筒であれば食中毒になる可能性ゼロといっても過言ではありません.また,最近では金属製の水筒でも内側にフッ素などの耐蝕性の表面加工が施されている場合が多く,酸性でも金属が溶けてしまうリスクがないため,問題なくスポーツドリンクを入れることができます.

最近販売されている水筒のほとんどが過去に食中毒の原因になったこともあり,耐蝕加工が施されています.水筒にスポーツドリンクを入れるのであれば耐蝕加工がされているのか確認しておくことを強くオススメします.

ただし,耐蝕加工がされていれば完全に安全とは言い切れず,古くなった水筒の場合,経年変化で耐蝕加工がはがれている可能性や傷がある場合が多く,フッ素加工がされていない部分などから金属が溶出してしまう可能性も高くなります.数年使っている水筒であれば,耐蝕加工がされているものであってもスポーツドリンクのような溶出を起こす飲み物を極力入れないようにすることがよいかと思います.

水筒の内部がサビてしまった際の手入れ方法

水筒は,ステンレス製であってもさまざまな原因で経年的にサビてしまいやすいです.特に,スポーツドリンクのような酸性の溶液を長時間水筒に入れたままであると,サビを生じる可能性が高くなります.

サビている水筒を使うことは衛生的に好ましいものではなく,生理的にも受け付けなくなり,安心して飲み物を飲むこともできなくなってしまいます.そのため,水筒がさびてしまった場合は,サビをきれいに落とすようにしましょう.

スポンジやたわしなどで力強くこすってもサビは中々落とすことができず,逆にフッ素加工をはがしてしまったり,傷を作ってしまう原因になります.正しいサビの落とし方は,まずはふだん通り水筒をきれいに洗っていきます.

パッキンやふたなどはすべて外し,容量の一割程度のクエン酸を入れ,水をいっぱいになるまで注ぎます.後は30分から1時間放置し,水で洗い流しましょう.

軽くやわらかいスポンジなどで洗えば,内壁に傷をつけずにサビをきれいに落とすことができますよ(K.T).