ダイエットは食事のタイミングが重要!時間栄養学の視点で考えよう!

いつものようにオンラインレッスンを受けていて,今回,たまたまこれまで受ける機会のなかったボディビルダーのトレーナーさんに当たりました.

ボディビルダーといえば,大会に照準を合わせてトレーニングを行うとともに,短期間で身体を絞る食事を心がけるプロフェッショナルですよね.

レッスンの受講後,このトレーナーさんに運動と食事についてかるく質問を投げかけたところ,ウェイトコントロールのために意識して食事の中身を変えているだけでなく,食事を摂るタイミングにも気を使っているという話を伺いました.ウェイトコントロールには,食事が占める割合が筋トレなどのトレーニング以上に大きいとも.

そこで今回は.身体づくりを意識した健全なダイエット(ウェイトコントロール)の方法について,特に食事のタイミングや中身という観点から考えてみたいと思います!




ダイエットは食事のタイミングが重要|睡眠時刻を朝型化し朝食にウェイトを置くことを心がける

食事は、末梢組織に存在する体内時計(※体内時計は、ほぼ全身の細胞に存在しています)の時刻決定因子として働いており、多くの身体機能は、食事をいつ食べたのかを目安にして活動期と休息期を決定しています。特に、朝食の摂取時刻が重要で、それを活動期の開始時刻であると認識します。朝食を抜くと、学習や運動能力のパフォーマンスが低下したり、やる気も低いという知見が報告されています。朝食による末梢時計のリセットには、タンパク質(アミノ酸)と炭水化物(糖分)の両者が必要であることが明らかにされており、バランスの良い朝食を規則正しく摂取することが望ましいと考えられます。また、朝食の摂取頻度が少ない人ほど肥満になりやすい傾向にあることが報告されています。

出典:時間栄養学(Chrono-nutrition)|農研機構食品総合研究所 機能性評価技術ユニット

外出自粛中の体重変化と生活リズムの関係を調べたところ、外出自粛により平日・休日に関わらず、睡眠時刻が朝型化(早寝、早起き)した人が痩せ、夜型化(遅寝、遅起き)した人が太ったことが明らかになりました。また、太った人は痩せた人に比べ、外出自粛中に活動量が低下し、ダイエットに挑戦しなかったと答えた人が多く、間食も増え、さらに睡眠の質も低下したと回答していました。睡眠不足や社会的時差ボケは、肥満の要因です。しかし今回の研究成果は、睡眠の長さや社会的時差ボケと体重変化の相関は見られず、体重が増加した人も減った人も睡眠時間が増加し、社会的時差ボケが減少していました。従って、睡眠不足や社会的時差ボケの解消というよりも、朝型―夜型の変化、それに伴う活動量、間食、睡眠の質の変化が、短期間の体重変化に繋がったと考えました。一方で年齢による差は特にありませんでした。

出典:コロナ禍の外出自粛により生活リズムが変化 ~3万人規模の調査成果~|早稲田大学

体内時計や生活リズムの変化がダイエットにどのように影響するか,コロナ禍という外部環境の変化のもと,大規模調査を行うことによってようやく明らかになってきました.

睡眠不足や社会的時差ボケは,これまでも肥満の要因と考えられてきましたが,今回のコロナ禍に伴う外出自粛等により,人々のライフスタイルが短期間で大きく変化し,睡眠時刻が朝型化(早寝、早起き)した人はやせ,夜型化(遅寝、遅起き)した人が太るということが見えてきたということです.

ここで,朝型化と夜型化とでは,それぞれの食事のパターンが異なることに留意すべきでしょう.また,朝型化した人たちに比べ,夜型化した人たちの方が.単に睡眠時刻が遅いだけでなく,活動量が減少したり,間食を多く摂ったり,睡眠の質が低下したり…といった生活習慣が影響を及ぼしているようです.

睡眠の質であれば,FitbitやGarminなどの活動量計を装着していれば,容易に確認することができますよね.

さらに,朝食にウェイトを置くというのは,朝型化に大いに役立つと思います.朝食をしっかり摂ることによって,体内時計をリセットすることができます.

“This study shows that, in obese insulin-treated type 2 diabetes patients, a diet with three meals per day, consisting of a big breakfast, average lunch and small dinner, had many rapid and positive effects compared to the traditional diet with six small meals evenly distributed throughout the day: better weight loss, less hunger and better diabetes control while using less insulin,” said lead study author Daniela Jakubowicz, M.D., professor of medicine at Tel Aviv University.
“The hour of the day — when you eat and how frequently you eat — is more important than what you eat and how many calories you eat,” she noted. “Our body metabolism changes throughout the day. A slice of bread consumed at breakfast leads to a lower glucose response and is less fattening than an identical slice of bread consumed in the evening.”

出典:High-energy breakfast promotes weight loss(高エネルギーの朝食は減量を促進する)|Science Daily

つまり,朝食に炭水化物(糖質)量を多めに摂って血糖値を上げ,逆に夕食の炭水化物量は減らして血糖値をコントロールすることによって,ダイエットに有益な効果が得られるということを示しています.朝食の目的のひとつとして,体内時計をリセットし,身体を目覚めさせるということがあります.食事内容のGI値(血糖上昇指数)が高いほど,体内時計作用をリセットしやすくなります.

活動初期にあたる朝にこそ,炭水化物を多めに摂る意味があるというわけですね.

ダイエットは食事のタイミングが重要|朝食時に体内時計のリセットに有用な食品成分としてのカフェイン,ノビレチン,エピガロカテキンガレート

栄養素以外の食品成分も同定されており,たとえばカフェイン,シークワーサーなどの柑橘類に含まれるノビレチン,緑茶に含まれるエピガロカテキンガレートが体内時計に作用することが報告されている.カフェインについては,ヒトにおける作用も報告されている.また,ノビレチンについては体内時計に作用する候補化合物の大規模スクリーニングによって明らかとされており,時計遺伝子の一つであるRORに結合し作用することが明らかとなっている.

出典:体内時計を考慮した時間栄養学と時間運動学による健康づくり|化学と生物

緑茶葉にはカテキン類が豊富に含まれる。主要なカテキン類として、(-)-epicatechin (EC; 図1. a) 、そのヒドロキシル体である(-)-epigallocatechin (EGC; 図1. b)、及びそれらの没食子酸エステルである(-)-epicatechin-3-O-gallate (ECG; 図1. c)と(-)-epigallocatechin-3- O -gallate (EGCG; 図1. d) などが含まれている。茶葉中の各成分の含有量は、EGCG>EGC>ECG>ECの順であり、これらを合計すると茶葉乾燥重量の13~30%程度を占める。各カテキン類の生理活性は数々の報告があるが、とりわけEGCGは他のカテキン類やポリフェノール類に比べて高い抗ウイルス活性を示す。

出典:エピガロカテキンガレート(EGCG)|太陽化学 公式サイト

朝食に,カフェインを多く含む緑茶やコーヒー,ノビレチンを多く含む柑橘類なんて良いですよね.逆に,寝る前にコーヒーを飲んだら体内時計がリセットされて夜型化してしまいます.エピガロカテキンガレートは緑茶に多いのはもちろん,抗ウイルス効果も期待できるので,意識して摂取できると良いのではと思います.

ダイエットは食事のタイミングが重要|低炭水化物(ロカボ)は昼食,夕食時にこそ重要

ダイエットは,筋肉量を減らさずに体脂肪を減らすことが重要です.体重が重くても,脂肪が少なく筋肉質なのは肥満にはあたりません.適正体重まで落とせても,筋肉量が落ちて脂肪が減らなければ意味がないと言えます.炭水化物を減らしたロカボダイエット食は,朝食時よりも昼食および夕食時にこそ考慮するべきでしょう.

ちなみに,前述のボディビルダーのトレーナーさんは,朝昼晩の3食ではなく,少量を3時間おきに食べる分食をしていると話していました.まるで胃の一部もしくは全部を切除した方の食事のようにも聞こえますが,意図してそうしているようです.

The subjects, 379 men aged 60 to 64 years from a district of Prague, were grouped according to the usual frequency of their intakes of food. The incidences of overweight, of hypercholesterolaemia and of diminished glucose tolerance were all significantly higher among those who took 3 or fewer meals a day than among those who took 5 or more meals. Triceps and subscapular skin-fold thicknesses decreased as the frequency of meals increased.-N. Taggart.

出典:THE FREQUENCY OF MEALS. ITS RELATION TO OVERWEIGHT, HYPERCHOLESTEROLAEMIA, AND DECREASED GLUCOSE-TOLERANCE|Lancet

医学雑誌Lancetの古い論文で,プラハに住む60歳台前半の男性379人を対象に調査したもので.3食よりも5食に分けて食べている人の方が肥満,高コレステロール血症,耐糖能低下の発生率の点でいずれも優れていたというものですが,いくら分けて食べても1日の摂取カロリーが増えてしまうと意味がなくなりますよね.いきなり食事の回数を大きく変えようと思っても,生活習慣まで落とし込むのはなかなかたいへんなことです.個人事業主でもなければ,なかなか3時間おきに職場で食事を摂るというのも難しい面もあるでしょうし.

比較的,やってみる敷居が低くて習慣化しやすそうなのは,朝を高炭水化物食,昼および夕食の炭水化物の割合を減らしてタンパク質などの比重を高めるというところではないでしょうか.あとは,朝食にウェイトを置いて,活動終期の夕食時は軽めにおさえるというところではないかとおもいます.



ダイエットは食事のタイミングが重要|運動した時にプロテインを適量飲む

プロテインをがぶがぶ飲んでやせる訳ではありません.むしろ,プロテインは適切なタイミングで飲まないと太る,とトレーナーさんから注意されます.

プロテインを飲むタイミングは,運動後です.

具体的に言うと,ジムでマシントレーニングやスタジオレッスンを受けた後です.いまなら,自宅の一室をジムがわりに利用している方も少なくないでしょうから,オンライントレーニングやパーソナルマシンなどのトレーニングを行なった後も飲むタイミングといえるかもしれませんね.

まず、プロテインを飲むベストなタイミングは、筋トレと合わせて飲む方が多いことからもわかるように、「運動後30分以内」とされています。これは、筋肉を構成するたんぱく質の合成が、運動を終えてから数時間のうちに最も活発に行われるため。運動終了後は、できるだけ早めにたんぱく質を摂取することが効果的です。

出典:プロテインのメリットと効率的な飲み方とは?|ルネサンス公式サイト

プロテインも,過剰摂取すれば当然カロリー過多で太ります.

個人的には,筋トレ系のマシントレーニングとの相性が最も良いように思います.ルネサンスの例でいうと,グループパワーのような,バーベルとプレート、そして自体重を使いながら行うストレングストレーニングプログラムの後も効果的なんじゃないかと思います.グループファイトのような格闘技系のプログラムも爽快感があって楽しいですが,これだと有酸素運動としては良いとしても脂肪を燃焼して筋肉をつけるというところには道のりが遠いように感じています.

運動を一切しないでプロテインだけ飲む,という選択肢はナシなんじゃないかなあと思います.


函館のルネサンスの支配人が90kg以上の自体重で,メンバーさんから注意されてダイエットに取り組んだという自虐的な笑い話が,コミュニティーペーパーの広告でよく見かけます.

食事を節制しないとカロリー消費しなければやせません.まして,基礎代謝が落ちてきたらトレーニングを行なって基礎代謝を上げる努力をするとともに,カロリーバランスを考えて食事を摂らないと,加齢に従って多くの人は太っていくとおもいます.

ただ,闇雲に運動してカロリー摂取量を減らそうというのではなく,朝食をしっかり摂って血糖値を上げて身体を目覚めさせ,筋トレと合わせてプロテインを摂り,夕食は炭水化物を少なめにして寝るという生活習慣を続けていけば,ガチで運動するよりも健康的にやせられるというのは意外な気もしますが,ボディビルダーさんの日常を考えてみれば当然という気もします.

要は,自分の身体のことをちゃんと判断してポイントを押さえて食事と運動と睡眠を考えてねということに尽きるんでしょうね(K.T).

プロテインの摂取は,ボディービルダーの方々に限らず,ダイエットを目指す一般の方々にとってもおすすめなことをご存知でしょうか. ダイエッ...