食トレで筋肉を増やし脂肪を減らそう!!

食事トレーニング,略して「食トレ」.

加齢による基礎代謝の低下によって気になる脂肪を減らすためには,単に筋トレをすればよいだけではなく,食事を根本から見直す必要がありますよね.

2021年10月に発売された雑誌『Tarzan』No.819でも,「食トレの強化書」と題して,いま注目の「食トレ」について紙幅を割いて紹介していました.

そこで今回は,今こそ考えたい「食トレ」について詳らかに見ていきたいと思います.




食トレで筋肉量を増やしたいのであればプロテインがおすすめ

食トレで得たいものと言えば,いうまでもなく体脂肪ではなく筋肉ですよね.

基礎代謝は筋肉量に比例して増減しますので,同じ体重でも体脂肪を減らし筋肉量を増やすことができれば,見た目も引き締まり,健康体型に自らを変えることができます.

ダイエットをしている方はもちろん,ジムワークを楽しんでいる方も単に筋トレを行うだけではなく,食トレも導入すれば筋トレで得られる効果をさらに高めることが期待できますね.せっかくの筋トレも,食トレを伴わないと効率がわるく,実にもったいないと思います.

筋肉を食トレで効果的に増やしたいのであれば,ふだんの食事にプラスしてプロテインの摂取がおすすめです.

プロテインも,パウダーひとつとっても溶解性や食味がかなり改善され,水に溶けやすく,食味も様々なものがチョイスできるようになってきています.

様々なプロテインが販売されていますが,メインの目的が筋肉増量ならホエイプロテイン,メインの目的がダイエットなら腹持ちの良いソイプロテインといった選択肢が考えられます.

最近は,小売店の乳飲料のコーナーにそのまま飲めるプロテインドリンクが多く並ぶようになったので,ジムワークに関係なく,ふだん遣いの食品としてプロテインを口にする機会も増えて来たのではないでしょうか.

さらに,スティック菓子のような食べ物として食べることができるプロテインバーもたくさん売られていますので,特別な存在でなくなってきたようにかんじます.

プロテインバー
出典:Twitter by @T_motohiroさん

プロテインは,基本的に筋トレ後に摂取するのがおすすめですが,寝る前や朝ごはんに合わせて摂取するのでも差し支えありません.

食トレで脂肪を筋肉にしよう!理想の体型づくりに食トレを!!

食トレで筋肉を増やし脂肪を減らすには,脂質を抑えてタンパク質をしっかりと摂るというのが基本になります.

さらにHIIT(High-Intensity Interval Training(ハイ・インテンシティ・インターバル・トレーニング))と呼ばれる,短時間に高強度の運動を休憩を入れながら行うトレーニングを加えると,さらに食トレの効果が高まると思います.

プロテイン販売で知られるMY PROTEINも,HIITにかんする動画をYouTubeに公開しているので,参考にすると良いと思います.

雑誌『Tarzan』の「食トレの強化書」特集号では,「PFCVバランス」という概念を紹介していました.

三大栄養素(タンパク質,脂質および糖質)に加え,ビタミン,ミネラル,食物繊維が必要で,これらのバランスが重要というものです.

健康的な脂肪,高品質のタンパク質,栄養豊富な糖質をバランスよく毎回の食事に取り入れることによって,血糖値スパイクを抑えることができます.血糖値が不安定になると,体重増加につながる可能性があります.例えて言うと,マラソンをしないのに過剰に糖質を摂取するカーボローディングを行うと,過剰な糖質を燃やすために脂肪に変えて体内に蓄積していきます.裏を返せば,体重減少には血糖値の安定が必須ということです.

インスリンは別名を脂肪蓄積ホルモンとも呼ばれ,インスリンが機能すると脂肪燃焼ホルモンとも呼ばれ,インスリンと拮抗して機能するグルカゴンがその役割を果たせなくなるということなのです.

また,最近ではスポーツ選手に限らず,ダイエット目的で食トレを導入することも珍しくありません.

筋トレだけではなく,食トレも同時に行うことで理想の体型に手に入ります.

ダイエットはやり方を間違えると体調を崩してしまうこともある一方,ポイントを押さえた食トレで脂肪を筋肉に変えることができれば,健康を損ねることもなく,理想の体型に近づくことができますね.

食トレに着目して大戸屋が東急スポーツオアシスとオリジナル定食を共同開発

2021年10月5日より,全国の大戸屋で,スポーツクラブの東急スポーツオアシスと共同開発したオリジナル定食「ダイエット定食」,「マッスル定食」の展開をはじめました!



出典:東急スポーツオアシス プレスリリース

これ,すごく良いと思いませんか?

大戸屋のメニューの中でも,食トレの趣旨に近い定食や一品ものを注文することはもちろんできましたが,ここまで食トレに徹したメニュー展開は珍しいと思います.とくに,ふだんスポーツクラブでの運動習慣のない方々も対象に展開しているところが素晴らしいとかんじました.

第一弾は、オアシスが運営するフィットネスクラブの利用者への食事サポートを目的に、ダイエットや筋トレ中の方に最適な定食を共同開発し、2021年4~7月の3カ月間、クラブ近隣の大戸屋で限定販売いたしました。限定販売にも関わらず、3カ月で12万食を販売する反響があり、この度第二弾の取り組みを実施することとなりました。

出典:東急スポーツオアシス プレスリリース

やはり,もともと潜在ニーズはあったってことですよね.もっともっと潜在ニーズを掘り起こした商品展開をしてほしいと切に願う次第です.

もちろん,大戸屋にとどまらず,他の定食屋さんでも食トレに着目した健康メニューを開拓して,切磋琢磨してほしいとユーザー視点からかんじます.

食トレで筋肉量を増やしたいのであればアミノ酸の一つでもあるロイシンが重要!

食トレで筋肉を付ける際に,単純に食べるのを増やすだけでは,体脂肪ばかりが増えた不健康な肥満になってしまいますよね.

ですので,食トレをするのであれば,どのような栄養素を重点的に摂取するのか重要になってきます.

必須アミノ酸がなぜ筋肉においてタンパク質同化として機能するかはなお十分解明されていないが,必須アミノ酸の供給は単にタンパク質合成の原料として使用されるだけではなく,筋肉細胞に直接働いてタンパク質合成を刺激している.必須アミノ酸の中でも分枝鎖アミノ酸(ロイシン,イソロイシン,バリン),さらにはその中でもロイシンは筋タンパク質合成刺激が強いことが知られる.分枝鎖アミノ酸はそれ以外に筋肉エネルギー源となる唯一のアミノ酸でもある.必須アミノ酸であるロイシンによる介入の多くは体タンパク質合成の増加や除脂肪体重の増加に成功している.

出典:サルコペニアと栄養|化学と生物 Vol.52, No.5, 2014

筋肉はさまざまなアミノ酸でつくられており,その中にはロイシンも含まれています.ロイシンは,体内では合成できない必須アミノ酸に分類されており,必然的に食事によって外部から摂取する必要があります.

では,どのような食材を食べればロイシンを摂取することができるのか気になりますよね?

実はロイシンは,さまざまな食材に幅広く含まれているので,普通に食事をしていればまず欠乏することはないので,その点は安心して良いとおもいます.

ただし,ダイエットなどで極端に食べる量を制限してしまうと,結果として筋肉を合成するロイシンが不足してしまって筋肉量が落ち,せっかくやせても不健康な見た目になってしまうこともあるので,バランスを考えて健康的にやせることを目指すのが良いとおもいます.

食トレでビタミンDが重要?上杉志成が脂肪とビタミンDのメカニズムを解明!!

繰り返しになってしまいますが,食トレをする際にどうしても気になってしまうのが脂肪の存在ですよね.

脂肪は体を動かすために蓄えられているエネルギーではありますが,多くの脂肪が蓄積されると体脂肪率が高い不健康な肥満体質になり,単に体重が増えるだけではなく,病気へのリスクが高まります.

もともとビタミンDには骨を強くする働きがあることがわかっていますが,上杉志成さん(京都大学化学研究所 教授)の研究によって,ビタミンDに脂肪製造の抑制の働きがあることが突き止められています.

生物は脂質の量をさまざまな方法で調節しており、脂質調節に異常があると、メタボリックシンドロームや癌などの疾患を引き起こします。

そこで本研究グループは、脂質生合成の指令塔である転写因子(DNA上の特定の塩基配列に結合し、DNAからRNAへの転写の過程を促進または抑制する働きを持ったタンパク質の一群)であるSREBP(Sterol Regulatory Element-binding Protein)に着目し、ビタミンD代謝物がSREBPの活性を調節していることを新たに発見しました。そのメカニズム解析を進めたところ、これまで知られていなかった方法でビタミンDがSREBPの働きを抑えていることが分かりました。

ビタミンDについてはこれまで、疫学的な報告により、メタボリックシンドロームや癌などの疾患の予防に効果があることが分かっていましたが、そのメカニズムについては不明なままでした。しかし、今回の生化学的なアプローチにより、脂質代謝とビタミンDとの関係が、分子レベルで明らかになってきました。

出典:京都大学 プレスリリース

まさに夢のような効果ではないでしょうか.

年齢を重ねるとどうしても基礎代謝が低下して太りやすくなるので,戦略的にビタミンDを摂取すれば,中年太りにならずに済ませられるかもしれませんね.

ケトジェニックの食トレをすれば脂肪が燃焼する

ケトジェニックとは,肝臓でケトン体という物質を作り,脳や体のエネルギー源とする方法を指します.

現在では,ごはんやパン,麺類などが主食となり,糖質が主なエネルギー源となっています.

実は,人の身体は車でいう2種類のエネルギーで活動することができるんです.

ここで取り上げた,ケトジェニックというのは,簡単に言うと糖質を制限しつつ,高脂質を摂取する食トレの方法です.

脂質を摂取すると直感的に太ってしまうのではないかというイメージがあるかもしれませんが,ケトジェニックを行えば効率よく脂肪を燃焼させることができますよ.

一般的な糖質制限と混同してしまう方もおられるかも知れませんが,ケトジェニックは短期間にやせたい人におすすめの方法でもあり,ダイエット目的で導入されることも増えてきています.

さまざまな理由から短期間でやせなければならない状況になった時には,ケトジェニックで食トレすることも良いかもしれませんね.

食トレで脂肪を燃焼させたいのであればカルニチンやビタミンB1もおすすめ

カルニチンは,中性脂肪や脂肪酸を燃焼させる働きがあると言われています.

そのため,カルニチンを摂取すれば今までよりも脂肪を燃焼させることができ,やせることも期待できます.

摂取するだけで効率よく脂肪を燃焼させることができるのは夢のようですね.極端な話,カルニチンを摂取すれば激しい運動などをしなくても徐々に体重が落ちるので苦労なくダイエットしたい人にもおすすめです.

ビタミンB1は,脂肪などとは違い,蓄えることができないので毎日適量摂取することが望ましいです.

ビタミンB1は,糖質を分解してエネルギーに変換してくれることから,糖質を多く摂取してしまいやすい現在の食事内容でも太りにくくすることが期待できます.

ちなみにカルニチンはマグロなどの赤身に含まれ,玄米やソバに含まれています.

健康によいと度々言われている玄米ですが,精米していない分,ビタミンB1が含まれていることから健康食品であることがうかがえますね.

顧みれば,日露戦争のころの森鴎外の脚気論争も,鴎外の勧めで白米を食べた兵隊たちがビタミンB1不足で脚気になった一方で,指示に従わずに玄米食を続けた兵隊たちが元気でいられたというお話でしたよね(K.T).


出典:Pixabay