コーヒー,エナジードリンクとカフェイン

朝起きると,家や出勤途上に目覚めのコーヒーを飲んで仕事に出かけるという方も多いかと思います.国際コーヒー機関(International Coffee Organization;ICO)の統計調査(2018年7月)によると,日本は1人あたり平均で1年に3.64kgのコーヒーを消費しています.概ね1日平均で1人1杯のコーヒーを飲んでいる計算になりますね.理論上,コーヒー1杯(100mL)に約60mgのカフェインが含まれています.同様に,煎茶1杯には約20mg,いわゆるエナジードリンクには1本あたり36〜150mgのカフェインが含まれていますので,特にエナジードリンクは状況に応じて摂取量に留意する必要がありそうです.

ヒトに対するカフェインの効果

カフェインは,目覚めのコーヒーに代表されるように,適量を摂取することによって眠気を覚まし頭が冴える覚醒効果が認められています.一方で,世界保健機関(World Health Organization;WHO)が勧告を行なっているように,特に妊娠期や授乳期における摂取において,母親の血中に含まれるカフェインの排出が通常と比較すると大幅に遅れが生じ,その結果として子どもの成長阻害,出生児における体重の減少,早産,死産に関連している可能性が指摘されています.カフェインに対する感受性は人によって個体差が大きいため,一概に閾値を設定するのは難しいのですが,妊娠時や夜間等のコーヒーはデカフェ(カフェインレス)にすると安心です.

カフェインがもつ睡眠障害への懸念,そして看過できない心血管系への負の影響

健常人におけるカフェイン入り飲料の過剰摂取の大きな懸念は,カフェインのもつ覚醒効果に伴う睡眠障害でしょう.フィンランド食品安全局(EVIRA)が2016年に示した調査結果によれば,成人でもカップ一杯程度のコーヒーに含まれている少量のカフェインでも睡眠障害が生じ,睡眠の質や時間に悪影響を及ぼすと述べられています.さらに,米国食品医薬品庁(FDA)は,インターネットで販売されている純カフェイン粉末の危険性について注意喚起を行なっています.純カフェイン粉末の過剰摂取によって,異常な心拍数の増加,発作,死亡等を含む心血管系への負の影響を及ぼすことを警告しています.



カフェインは,コーヒーやお茶,さらにエナジードリンクに多く含まれ,過剰摂取による懸念がある一方,天然に含まれている食品成分のひとつであること,嗜好品としての利点があることも相俟って,一日あたりの摂取許容量が定められてはいません.オーストラリアやニュージーランドのように,カフェイン含量の多いエナジードリンクに対して,子どもや妊婦,もしくは授乳中の女性およびカフェインに感受性の高い人びとには適さない旨の表示を義務付けている国もあります.たとえ天然由来のカフェインであっても,カフェインを含む飲料が自分のからだに合わないと感じた場合は,潔く自分は飲まないという判断をすることが適切かと思います.

ちなみに筆者は,1日に一杯コーヒーを淹れるか淹れないかくらいの摂取量ですが,出かける前や寝る前にはコーヒーを飲まないようにしています.コーヒーには,カフェイン以外に苦味成分のクロロゲン酸が含まれているために胃酸の分泌を促進する効果があることもあって,自分でコーヒーを飲める時間に制約を設けています.どうぞ,自分のからだに合わせた飲み方をしてくださいね.(K.T.)