カレーは血糖値抑制に関係するの? その科学的根拠を検証する 

フェヌグリークは香辛料として用いられているマメ科の植物で,カレーパウダーやチャツネ,ソースといった食品中に含まれています.
最近では,フェヌグリークの機能性に着目して詳細な作用機構にかんする検討が行われるようになり,糖や脂質の代謝に異常がある場合にインスリン分泌を上昇させることなく中性脂肪量を改善することが明らかとなっています.しかも,糖や脂質の代謝に異常がない場合は,糖や脂質の代謝にほとんど影響をおよぼさないことがわかりました.

フェヌグリークは苦い,ではどうするか?

フェヌグリークに含まれるサポニンは強い苦味を持っており,油を加えて火にかけると.すぐに焦げて苦くなる特徴をもっています.そのため,カレーに含まれる香辛料としては,従来はフェヌグリークは取り扱いが難しいものと考えられてきました.研究の結果,フェヌグリークに含まれるサポニンを酵素処理することで糖の成分が外れると苦味を大きく低減できることがわかり,今日では酵素処理によって苦味を低減させたフェヌグリークをカレーパウダーに採り入れることができるようになりました.


豆類や野菜を加えるとさらに糖尿病のリスクを低減

豆類や野菜類はグリセミック・インデックス(GI)値とよばれる,食品に含まれている糖類の吸収を表す指標の値が低いため,カレーに豆類や野菜類を加えると,食事全体のGI値を下げることができます.具だくさんの夏カレーには,健康に寄与する理由がちゃんとあったというわけですね.

鳴り物入りの桑の葉入りグリーンカレー

健康志向のカレーが考案される中,にわかに脚光を浴びるようになったのは桑の葉入りのグリーンカレーです.桑はカイコの餌として,国内で広く栽培されてきました.桑の葉はもともと,糖尿病治療・予防の効果が期待される桑の葉茶として飲用に供されていました.養蚕が盛んだった群馬県では,富岡製糸場で有名な富岡産の桑の葉が入ったグリーンカレーが販売され,一部で話題になっています.桑の葉はカレー以外の食材にもいろいろ展開ができますが,夏カレーのように血糖上昇抑制効果が期待できる食材と組み合わせることによって,健康的でかつ,美味しい食のレパートリーが広がるのは嬉しいですね.ただし,桑の葉の摂取に伴い,おなかがゆるくなることも報告されていますので,からだと相談しながら適量を使うことが肝心かとおもいます.(K.T.)