目によいと注目のハスカップ その機能性と特徴に迫る!

ハスカップは,クロミノウグイスカズラとケヨノミの総称で,本州中部の高山地帯から北海道,サハリン,シベリア等に自生し,北海道,特に厚真町,美唄市,名寄市を主産地とするワイルドベリーです.北海道立中央農業試験場(現在の北海道立総合研究機構中央農業試験場)では1984年より新品種育成が始められ,千歳市農業協同組合でも1983年より優良系統の選抜が行われるようになりました.ブルーベリーよりも糖度が低く,酸味が強い特徴を持っています.

アントシアニンを多く含むハスカップ

ハスカップの生体調整機能に関わる成分としては,赤色系の色素であるアントシアニン類が特に多く含まれることが知られています.アントシアニン類は,抗酸化作用,ストレス軽減,がん予防等,様々な健康効果が注目されています.特に目の網膜に存在するロドプシンの再合成を促進する働きがあり,視機能の改善する効果があるとされています.また,カルシウム,鉄分,ビタミンCも非常に多く含まれています.ハスカップの果実は,ジャムや各種菓子類の原料として用いられているほか,風味づけにハスカップフレーバーを使用した乳酸菌飲料も市販されています.


*言わずと知れた,北海道限定販売の乳酸菌飲料のさらに限定商品です(笑).

自生ハスカップの収穫から品種育成して守り育てる農業へ転換

かつて,ハスカップは苫小牧市を中心とした勇払原野に広く自生していました.1953年に発売開始された苫小牧市の銘菓は,ロールカステラの外側にハスカップジャムをぜいたくに塗りこむことによって大ヒットしました.しかし,勇払原野が臨海工業団地へと姿を変え,勇払原野に自生していたハスカップが壊滅的な打撃を受けたため,一時期は菓子製造に必要な原材料の調達がままならない事態に陥りました.勇払原野に代わり,美唄市の北海道立林業試験場(当時)が栽培技術の開発と地元農家への栽培指導を行った関係で,美唄市がハスカップの産地として名が知られるようになりました.



また,2018年に発生した北海道胆振東部地震で大きな被害を受けた厚真町も日本一のハスカップの産地としてPRしており,町内のハスカップもぎとりを町の観光のひとつとして宣伝しています.

*美輪明宏の歌の名前にもなった洋菓子です.放送コードに抵触するかも(笑).

ハスカップを食べて厚真を応援

厚真町のハスカップは,他の産地と異なり,加工品として使用されるだけでなく,独自品種を開発してそのまま食べることができることを売りにしています.さらに厚真町厚真産ハスカップブランド化推進協議会が発足し,ハスカップクラフトビールをつくるクラウドファンディングを行い,売上金の一部が厚真産ハスカップの復興支援に使われるということです.

苫小牧にはもともと勇払原野にハスカップが自生していたということもあり,ハスカップを生のまま食べるという食習慣があります.苫小牧のスーパーには厚真産の生食用ハスカップが販売されていますが,繊細なハスカップを生食用として流通させることは難しく,多くのハスカップが加工用に生産されているということもあって道内でも他の地域で生のハスカップを見かけることはほとんどありません.とは言え,機能性に優れるハスカップをお菓子として利用するというだけではあまりに勿体なさすぎるとかんじます.急速に生産拡大したことで流通価格が下落したハスカップですが,生食やクラフトビール,ハスカップ茶のような,あまりこれまで普及してこなかったレシピが開発されていくと,食卓ももっと彩りのあるものになっていくものとおもいます.(K.T.)