増加する寄生虫アニサキスによる食中毒にご注意!MBS「よんチャンTV」でも注目 スーパーなどの生のお魚を安全に食べるには

MBSテレビ「よんチャンTV」で,アニサキス食中毒について大阪公立大学の城戸康年教授が解説し,話題になっています.

https://www.mbs.jp/news/feature/kansai/article/2022/06/089705.shtml

「よんチャンTV」は関西のローカル番組ですが,アニサキス食中毒は関西に限定したものではありません.

例えばあらかわ区報2021年5月21日号には,以下のような記事が掲載されていました.

令和2年中に都内で発生したアニサキスによる食中毒の件数は56件(患者数58人)で、病因物質別の件数では第1位でした。令和3年は、4月15日現在で17件(患者数17人)で、昨年に引き続き、すでに多く発生しています。

出典:あらかわ区報2021年5月21日号

アニサキスによる食中毒に関しては,以前しめ鯖の例をご紹介しましたが,しめ鯖に限らず,様々な魚種でアニサキスによる食中毒がまん延しているようです.

サバといえば,今話題のサバ缶でおなじみの魚.中には,丸竹のしめ鯖のなつかCMを覚えている方もおられるかもしれません. 一昔前ま...

そこで,今回はアニサキスによる食中毒に焦点をあて,スーパーなどで買ったお魚をより安全に食べるにはどうすれば良いか,考えていきたいと思います.




アニサキス症による食中毒|イオン小松店がメバル(ヤナギバチメ)の食中毒発生で営業停止に

石川県小松市のイオン小松店で購入したメバル(ヤナギバチメ)の刺身を食べた40代男性が,アニサキスによる食中毒を発症,体調を崩し,5月29日に石川県は同店を営業停止処分にしたとのことです.

このことについて,成毛眞さんは「県が本気なら冷凍魚か干物しか販売してはいけないということになる。石川県は感染と伝染の違いを理解していないのだろう。すごいことだのお。」と逆に驚いています.

個人的には,メバルを刺身にするのはかなり気を遣います.内臓にアニサキスが含まれている可能性があるので,さばき方もそうですが,温度管理に問題があった可能性もあります.いったん十分に冷凍(-20℃で24時間以上)されたものであれば,アニサキス幼虫は死滅するので,食中毒は避けられた可能性があると考えます.

サバといえば,今話題のサバ缶でおなじみの魚.中には,丸竹のしめ鯖のなつかCMを覚えている方もおられるかもしれません. 一昔前ま...

アニサキス症による食中毒|新鮮激安市場マリンピア店がイワシの食中毒発生で魚介類販売停止に

千葉市美浜区でも,2021年5月12日,新鮮激安市場マリンピア店で購入したイワシの刺身が原因による食中毒が見つかったと発表されました.

イワシは足が早いのと,とくにアニサキスの寄生リスクが高い魚種でもあるので,気をつけないと怖いですね.

こだわりの食情報をお届けするWEBマガジン「おいしんぐ!」を運営する,株式会社iD代表取締役の金沢大基さんが,なんと自身のブログでアニサキス...

アニサキス症による食中毒|有名人も襲われたアニサキス症 スーパーなどのお魚を安全に食べるには

アニサキス症といえば,渡辺直美さんがアニサキスで食中毒を起こし,出演予定だった日テレ「ヒルナンデス」を欠席したことが知られていますね.

お笑いコンビの品川庄司のツッコミ担当,庄司智春さんもアニサキスによる食中毒に襲われ,体験談をYouTubeにアップしています.

アニサキス症は不安だけど刺身は食べたいというのであれば,特にアニサキス症のリスクが高い魚種に関しては,多少味は落ちるかもしれませんが,「解凍」表示のあるお刺身を買うのがわかりやすく取れる対策ではないかと思います.

アニサキスを確実に殺す方法は「加熱か、十分な冷凍のみ」(鈴木科長)。4度に保った冷蔵庫内だと、アニサキスは半年間生きるという。

出典:みなと新聞

前述のイオン小松店の場合はどうだったのか,原因究明の結果を知りたいと思います.

成毛さんの「ちなみにアニサキス症はこれからも増え続ける可能性がある」という指摘は,私も正しいと思います.

食品安全委員会は,ファクトシートの中で,以下のように説明しています.

アニサキスは60℃で1分,70℃以上では瞬時に死滅します.冷凍処理によりアニサキス幼虫は感染性を失うので,魚を-20℃以下で24時間以上冷凍するのは有効です.酸には抵抗性があり,シメサバのように一般的な料理で使う程度の食酢での処理,塩漬け,醤油やわさびを付けても死ぬことはありません.加熱調理するか,十分に冷凍してから調理することが効果的です.
アニサキスは,寄生している魚介類が死滅すると,とどまっていた腹腔内(内臓)から筋肉部位に移動することが知られています.よって漁獲後は速やかに内臓を除去することが有効です.また調理の際にはアニサキスを目視で確認することも有効です.

出典:食品安全委員会ファクトシート

食中毒の原因となるのが,そのほとんどがミンククジラアニサキスで,クジラをはじめとする海洋性の哺乳動物を宿主として胃の中に寄生します.とくにクジラは個体数が増加しているので,食物連鎖によって魚の体腔,内臓,筋肉に蓄積します.これまで,サバのアニサキス症は知られていましたが,他の魚種でも広がりつつあるのです.

目黒寄生虫館,国立科学博物館,市立しものせき水族館「海響館」との共同開催で行われた「寄生して生きていく虫の話~あなたのそばにいるかもね~」で,ミンククジラの胃に寄生するアニサキスを見た方は,きっと戦慄が走ったのではないかと思います.

私の身近な人の中にも,函館に住んでいるにも関わらず,アニサキス症になってアニサキスに対してアレルギー反応を起こすようになり,お魚が食べられなくなってしまった方がおられます.アニサキスのアレルゲンは加熱しても変性しないことから,一生お魚が食べられなくなってしまいます.

昨今のアニサキス症増加の背景には,クジラの個体数増加という,国際的に複雑な問題が絡んでいるようです.

コロナ禍で,フードチェーンに滞りが生じているという話も聞きますし,コロナ禍のうちは,生の魚は食中毒が怖いのであまり食べたくないという話も耳にしたことがありました.

いままで生で食べられていた魚種の刺身であっても,今後アニサキス症が広がっていくだろうということに関しては,私も危惧の念を覚えています.

美味しいお魚が食べられなくならないためにも,アニサキスフリーの養殖魚を増やしたり,冷凍技術をうまく活用することによって,たとえ近海の天然魚であっても安全に食べられるような工夫が必要となってくるのでしょうね(K.T).

一般的な料理で使う食酢での処理、塩漬け、醤油やわさびを付けても、アニサキス幼虫は死滅しません 出典:アニサキスによる食中毒を予防しましょう...