機能性成分を含むことで知られるウコンで肝機能障害の疑い では実際のところはどうなの??【ザ・世界仰天ニュース】

日本テレビ「ザ・世界仰天ニュース」で話題になった,ウコンによるとみられる肝機能障害とその回避方法についてご紹介します.

臨床系のジャーナルに,健康食品としてのウコンの摂取によるとみられる肝機能障害の例が複数報告されています.ウコンには,ポリフェノールのクルクミンやビサクロンといった機能性成分が含まれ,健康への寄与が期待される一方で,番組の中で取り上げられた肝機能障害やがんといったリスクの懸念があることも,また事実です.では,私たちはウコンとどのようにつきあっていけば良いのでしょうか.

もともと肝障害をもっている方にとってウコンの摂食は要注意

慢性肝障害をもっている方が,自己判断で健康食品としてのウコンの摂取を開始し,肝機能障害の憎悪をもたらした例が多くみられたという報告が,臨床系のジャーナルに採択掲載されています.メーカーのサイトにも,ウコンおよびウコンに含まれる機能性にかんする有用性が掲載されている一方で,鉄分が多く含まれるウコンの摂取が,ひとによってアレルギー反応を引き起こし,過剰に蓄積した鉄分の影響によってさらに肝臓に対してダメージを与える可能性について言及しています.つまり,医薬品同様に健康食品としてのウコンにかんしても,体質によって合う/合わないがあるため,合わない人にとっては積極的に摂取を避けるべき食材であると言えるかとおもいます.


鉄成分の制限が必要なC型肝炎患者にとっては禁忌

番組の中で具体的な例として取り上げられたC型肝炎患者は,もともと肝細胞に鉄の過剰蓄積がみられ,肝細胞の障害を惹起することが明らかになっています.健康な肝臓であれば,必要以上に肝臓に鉄をためこまない仕組みになっているのですが,C型肝炎患者の場合は鉄の制御ができないために肝臓中に過剰に鉄をためこんでしまい,過酸化水素と反応することによって活性酸素を発生させ,肝臓にさらなるダメージを与えてしまうことになるのです.

ウコンにはアルコール分解を促進し,肝障害を抑制する効果が知られているビサクロンのほか,クルクミンによる生活習慣病予防効果が指摘されていますが,一方で体質に合わないひとにとっては肝臓への重篤な影響をおよぼす,むしろ危険な食材とも捉えることができますので,医薬品ではないものの安易に摂取することは厳に慎み,特にもともと肝臓に障害をもつ方々においては,担当医師と十分相談のうえで摂食の判断をするのが妥当かと思います.(K.T.)