新型コロナ予防は免疫力アップから オンライン講義「“新型コロナウイルス”ってなーに!? コロナに負けない!身体の作り方」開かれる【多摩六都科学館】

6月19日(金)に政府の緊急事態制限が解除されたことを受けて,都道府県境をまたぐ移動の自粛も全国的に見直されましたね.
この週末は,飛行機や新幹線などの運転ダイヤがまだ通常の時期並みまで戻ってはいませんが,これまでのステイホーム期間に比べると目に見えて人出が増えてきたように感じます.とはいえ,新型コロナウイルスの感染のくすぶりは続いており,市中でマスクを着用していないと叱責を受けるような事態が続いています.夏仕様のマスクも増えつつありますが,マスクは口元が暑いというだけでなく,呼吸の際に肺に負荷がかかります.なのにハイインパクトのトレーニングでさえ,十分なソーシャルディスタンスを保っていても,また,まわりに誰も人がいなくても「規則だから」という理由を盾に,マスクなしではいけないという社会的圧力を受けるようになりました.まったく生きづらい世の中になったものです.

さて,人々の悶々とした思いが交錯する中,東京・西東京市の多摩六都科学館では,緊急事態宣言明けの6月20日(土),オンラインで「“新型コロナウイルス”ってなーに!? コロナに負けない!身体の作り方」と題する一般向けの公開講義を開催し,早速私も参加しました.




出典:明治薬科大学セルフメディケーション学研究室

話題提供は,明治薬科大学セルフメディケーション学研究室教授の石井文由さん.
石井さんは,明治薬科大に一般用医薬品(OTC(オーバー・ザ・カウンター)医薬品)に関する助言,健康相談,情報提供を通じて地域のみなさまの健康をサポートするセルフメディケーションを推進する附属薬局の初代薬局長に就任しています.

<お店情報>
明治薬科大学附属薬局
東久留米市本町1-3-6 グランツビル

また,OTC医薬品に関する編著書もあります.

OTC薬とセルフケアサポート -症状からの適剤探し-

OTC薬とセルフケアサポート -症状からの適剤探し-

  • 出版社/メーカー: 薬事日報社
  • 発売日: 2018/05/28
  • メディア: 単行本

石井さんはいわゆる,プレメディカルケア(病気や障害の予防)にフォーカスしたところに関心の中心がありそうですね.

新型コロナの予防は免疫力アップ セルフメディケーションとはなにか

WHOの定義によれば,「自分自身の健康に責任を持ち,軽度な身体の不調は自分で手当てする」ことを指します.しかし,石井さんはさらに踏み込んで「自分で自分の体の健康管理を行うこと」をセルフメディケーションと定義しています.

新型コロナウイルス感染拡大の流れがひと段落ついたいまも,自分で自分の体の健康管理を行い,ウイルスと上手につきあうことが必要ですよね.新型コロナウイルス感染症に限らず,従来のインフルエンザ等の感染症に関してもしっかり予防策をとり,免疫機構を落とさない取り組みを日常的な生活習慣として取り入れていくことが重要かと思います.

明治薬科大学のセルフメディケーション学研究室では「自分で自分の体の健康管理を行うこと」にフォーカスし,ここ数ヶ月の新型コロナウイルスの感染拡大に伴い,新型コロナウイルスおよび免疫力アップに関連した一般市民向けのウェブコンテンツを充実させています.

多摩六都科学館においても,からだラボの特別展示として,地元・明治薬科大学セルフメディケーション学研究室の監修のもと,ウイルスおよび免疫に関する展示内容を充実させるとともに,今回のオンライン講義の実施に至ったという流れのようです.

新型コロナの予防は免疫力アップ からだに備わった3つの壁によってウイルスから守られている

第1の壁 皮膚や粘膜による防護壁(物理的防御)

皮膚の一番外側は,ウイルスが感染できない死んだ細胞の層(角質)によってできています.
また,粘膜を覆う粘液にはラクトフェリン等の活性成分が含まれており,ラクトフェリンがウイルスに付着するとウイルスが細胞内に侵入できないことが知られています.
ラクトフェリンにかんしては,以前,中国国家衛生健康委員会の「新型コロナウイルス感染による肺炎の予防と治療のための栄養食に関するガイドライン」(新型冠状病毒感染的肺炎防治栄養膳食指導)を引用して,ラクトフェリンの重要性について言及しましたので覚えていらっしゃる方もおられるのではないかとおもいます.

関連記事:
【情報更新】ラクトフェリンの効果に注目!免疫力を高めて新型コロナウイルスの感染に備える(中国国家衛生健康委員会「新型冠状病毒感染的肺炎防治栄養膳食指導」を追記)
【研究論文】「ラクトフェリンが新型コロナウイルス肺炎の予防と治療に有用である可能性」

第2の壁 自然免疫によるウイルス排除



出典:多摩六都科学館

自然免疫は,体内に侵入したウイルスなどの異物を取り込んで分解したり,攻撃して破壊するなどして排除する,生体にもともと備わっている防御メカニズムです.ここの壁が破られてしまうと,新型コロナウイルスの感染が決定することになります.でも,さらにもうひとつの壁が存在します.

第3の壁 獲得免疫によるウイルス排除



出典:多摩六都科学館

獲得免疫(適応免疫)は,いったん感染した後,発症を防御する抗体価が上昇し,いったん発症しても重篤な症状には至らず抗原ウイルスを排除して治癒するというメカニズムを指します.
現在開発中のワクチンは,人為的に病原性を抑えた形で抗原を投与することにより,発症を防御する抗体の産生を促進することを狙っているわけです.いまは,新型コロナウイルスに対するワクチンも,根治するための治療薬も開発途上にあり,かつ重篤化した場合の致死率が高いことが問題になっているということです.

新型コロナの予防は免疫力アップ バランスのとれた食事が免疫力アップの基本

石井さんは,ラクトフェリンの効果や発酵食品の有用性について言及しつつも,免疫力アップの基本はバランスのとれた食事だと述べていました.バランスのとれた食事こそが,免疫機能にとって大切で,そのために3つのチェック方法を紹介していました.

第1のチェック方法 とても簡単!3食で栄養バランスチェック

石井さんは,健やかな毎日のための基本的な食生活のあり方を簡単に知ることができる「栄養3・3運動」を紹介していました.「3・3」は3食・3色を意味し、毎日、朝・昼・夕の3食と、3色の食品群のそろった食事をとることを勧めるものです.

「栄養3・3運動」の「3・3」は「3食・3色」を意味しています。「3食」は、朝食・昼食・夕食の1日3回の食事をしっかり食べることを勧めています。一方、「3色」は、毎食「3色食品群」の食品をそろえて食べることを勧めています。「3色食品群」とは、食べ物に含まれる栄養素の働きの特徴により、「赤色の食品」「黄色の食品」「緑色の食品」の3つに分類したものです。「赤色の食品」は、肉、魚、卵、大豆、牛乳などで「血や肉をつくる食品」、「黄色の食品」はご飯、パン、芋、砂糖、油などで「働く力になる食品」、「緑色の食品」は野菜や海藻、果物などで「体の調子を整える食品」です。このように分類の仕方が簡単でわかりやすいことから、学校給食の献立表などにも使われています。例えばトーストとコーヒーの朝食では「黄色の食品」だけですから、「赤色の食品」と「緑色の食品」からも何かを食べましょう、と言うことです。

出典:e-ヘルスネット|厚生労働省

偏りなく3食食べることが,免疫力を落とさない第一歩だというわけですね.特に現代の食事では,往々にして「緑色の食品」が不足しがちですので,意識して摂っていくことが重要というわけです.

第2のチェック方法 農林水産省推奨食事バランスガイド

食事バランスガイドは,農林水産省のサイトに詳細な説明が挙げられています.

1日に、「何を」、「どれだけ」食べたらよいかを考える際の参考にしていただけるよう、食事の望ましい組み合わせとおおよその量をイラストでわかりやすく示したものです。
健康で豊かな食生活の実現を目的に策定された「食生活指針」(平成12年3月)を具体的に行動に結びつけるものとして、平成17年6月に厚生労働省と農林水産省が決定しました。


出典:「食事バランスガイド」について|農林水産省

限られた時間の中で実際に毎日ここまで徹底するのはたいへんですので,理想的なあり方は置いておくとして,まずは「栄養3・3運動」の意識を,どこか頭の片隅に置いておくということが良いのではないか,と個人的には思います.

第3のチェック方法 アプリで簡単!栄養バランスチェック

巷には,栄養バランスチェックをサポートする,様々なアプリが公開されています.その中で,石井さんは食べたものを入力することで,1日の食事の影響バランスを計算してくれる便利なアプリとして,「あすけん」を勧めていました.
ただ,ほかにもいろいろなアプリがありますし,運動プログラムと食事の両方を記録するアプリや,活動量計のアプリに食事記録をつけるようになっているものもありますので,むやみにアプリをふやして三日坊主になるよりは,お気に入りのアプリにデータを集約させた方が,自分自身を追い込む上では有用かとおもいます.

あすけん

新型コロナの予防は免疫力アップ 免疫機能を上げる食事法のポイントまとめ

話をまとめるとこうなります.

理想的なバランスの良い食事に対し,日本人の平均的な食事においてミネラル,ビタミン,食物繊維が不足しています.
逆に多いのは脂質(とくに動物のお肉に含まれる飽和脂肪酸)なので,脂質の摂取を控えるように心がけましょう.

バランスのよい食事とは,
 食物繊維(野菜,キノコ,海藻)
 ビタミン(野菜や果物)
 ミネラル(野菜や海藻)
 そしてお肉よりお魚をたっぷり食べましょう
 +
 食べ方も大事
 適量をよく噛んで
 あたたかい料理で生姜や発酵食品もうまく取り入れる

教科書的な内容ではありますが,まあ,季節にもよるでしょう.これからの真夏の暑い最中にあたたかい料理を食べよというのも,幾ら何でも限界がありますよね.
食事バランスを考えた上で,からだを冷やすものばかり食べすぎないということかと思います.

とはいえ,こんなことも言っていました.

体温が上がれば,免疫機能が活性化することがたくさんの研究からわかってきました
体を冷やさない!
寒いところで薄着でいない,適宜暖房設備を活用します
冷たい飲み物や食べ物を食べない
体をあたためる!

冷やさないことが肝みたいです.冷たいものもほどほどに.

新型コロナの予防は免疫力アップ 平時とウィズコロナの時期では多少発想の転換が必要

オンライン講義では,最後の方でチャットの質問をピックアップして答える場面がありました.
杓子定規で,

入浴 毎日湯船に浸かりましょう
   →HSP(ヒートショックプロテイン)の亢進を考慮して40-42℃のお湯に20分浸かる

と言っていたので,

コロナ明けで利用できるようになったスポーツジムの湯船に長く浸かるのはむしろ感染リスクを増やすことにつながらないのか?
これからの暑い季節に暑いお湯に20分も浸かるのが現実的なのか?

といった質問がチャットで投げかけられました.

それに対し,

ジムでのお風呂は感染のリスクがあるので自宅での入浴をおすすめします
夏場は38-40℃のやや低めの湯温に設定して,冬場よりもやや長めに浸かりましょう
また,お風呂は交感神経を活性化させるので,寝る直前の入浴は控えた方が良いでしょう

といったことが話されていました.

多摩六都科学館からは,今日の話を受けて興味を持った方は,からだラボの特別展示をぜひ見に来てくださいと勧めていました.ただ,先程までの話の通りで,必ずしもこれからの季節であったり,現在進行形のウィズコロナで要請されている「新しい生活様式」に必ずしもカスタマイズされたものでもないようです.

最終的には,いろいろなところからの知見を得た上で,自分自身の頭でどう判断するかが重要なように感じました(K.T).