ねばねば成分で知られる「がごめ昆布」 その特徴は?何が良いの?【ヒルナンデス】

2019年8月13日放送の日本テレビ「ヒルナンデス!」あさこ大久保札幌女子旅で,がごめ昆布が紹介されていました.

がごめ昆布は,昆布の中でも褐藻コンブ目コンブ科トロロコンブ属に分類される昆布の一種で,正式な名称は「がごめ」と言います.多種類の粘性多糖類を含んでおり,多量の粘りが出るのが特徴です.

 
 
 
 
 
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がごめ昆布|産地は函館・恵山岬周辺が中心

がごめ昆布は,北海道函館市の恵山岬(旧南茅部町)を主産地とした限られた場所に生息しており,真昆布,羅臼昆布,長昆布,厚葉昆布,三石昆布,利尻昆布,細目昆布と合わせ,北海道を代表する昆布のひとつとして知られています.名前の由来は,大小の凸凹した紋様があり,それがカゴの目に似ているというところから命名されたと言われています.

地元函館では以前から注目されている食材ではあるものの,いまいち知名度が低く,知名度の低さを逆手にとって形となった「がごめ昆布妖怪 がごめっち」なんていうゆるキャラも生まれましたが,これもなかなかヒットしませんね(笑).

がごめ昆布|鍵は「がごめ昆布」に多く含まれるねばねば成分

他の昆布に比べて多く含まれる,フコイダン,ラミナリン,アルギン酸といった粘性多糖類に,抗血液凝固活性,抗腫瘍活性,脂血清澄作用などの生理活性を持つことが知られるようになりました.そのことから「機能性素材としての」がごめ昆布に注目が集まるようになりました.そのため,健康や美容効果に対する期待が高まり,がごめ昆布の地元・函館市では,北海道大学と北海道立工業技術研究センターの研究者が,地域資源であるがごめに関する研究開発を行なっています.がごめ昆布を用いた様々な食品,菓子類,調味料にとどまらず,石鹸や化粧品等,幅広い用途の商品が開発されています. また,がごめ昆布のもつ「とろみ」を嚥下困難な高齢者向けの介護食に利用しようという動きも出ています.

嚥下対策に使用されるとろみ剤としては,一般的にはとうきびなどを発酵してつくったキサンタンガムが多く使われています.安い松前漬にもとろみづけにキサンタンガムが使われていますが,高級品の松前漬にはがごめ昆布が使われていますよね.ほとんど無味無臭のキサンタンガムよりもおいしいとかんじるのは,がごめ昆布にはとろみだけでなく昆布のうま味も兼ね備わっているからです.

がごめ昆布|北海道庁も「がごめ昆布」の機能性表示を後押し

北海道庁では,自治体版の機能性表示制度をブランド化し,食の機能性について一定水準の科学的根拠を有する商品に対して,北海道が認定する「ヘルシーDo」ブランドの表示ができるようになり,がごめ昆布を用いた加工食品も「ヘルシーDo」に複数登録収載されています.

「ヘルシーDo」の認定を受けるには,機能性成分にかんする論文が必要で,ヒト介入試験とよばれる一般ボランティアによる試食と健康データの分析がおこなわれます.一般ボランティアの募集も随時実施されていますので,興味をお持ちの方はドナー登録してみるのも良いかもしれませんね.私のまわりにも,機能性食品や医薬品の治験ボランティアをしている友人がおります.

がごめ昆布|北大が「がごめ昆布」のブレークスルーをリード

天然のがごめ昆布は産地が限られ,収穫量も多くありません.そこで,北海道大学大学院水産科学研究院は,新たに海藻栽培技術を開発し,通常の2倍以上のフコイダンを含むがごめ昆布を,通常の1/3の短期間で生育させることに成功し「北大海洋栽培」と命名しました.さらに,同大発ベンチャーを立ち上げ,「北大海洋栽培」を用いた研究成果の社会実装が進められています.

北海道は,国から食に関する特区(フード特区)としての指定を受け,函館市も道内の特区エリアのひとつとして,がごめ昆布をはじめとする海藻資源を活用した事業化を産学官連携によって進めています.また,函館市では毎年「世界料理学会 in Hakodate」が開かれ,特徴のあるこだわり食材が数多く集まる土地という認識がされている一方で,函館独特の食材のもつ機能的価値があまり社会に伝わっていないようにも感じています.機能性という観点から科学的根拠に基づいて既存の食材を見直し,日々の食を通じて健康増進につなげることができればと思っています.(K.T.)