猛威をふるう豚コレラ(とんこれら) ふつうに豚肉を食べても大丈夫?

豚コレラ(とんこれら)が猛威をふるっています.
沖縄では,9月20日,県が養豚業者などを集めて対策会議を開き,那覇空港の検疫で中国からの旅行客のソーセージなどから豚コレラのウイルス遺伝子が検出された例が10例あることが報告されました.中国では予防ワクチン接種による対策がなく,しかも豚やイノシシへの感染力が極めて強いことから畜産業への影響が強く懸念されているアフリカ豚コレラの感染拡大によって飼育頭数が減少,卸売市場の豚肉価格が急騰しています.

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豚肉を食べることにより人間が豚コレラウイルスに感染する可能性はありません

ウイルスにはそれぞれ感染しやすい動物があり、豚コレラウイルスは、豚やいのししなどのイノシシ科動物に感染するウイルスです。インフルエンザウイルスのように、もともと幅広い動物種に感染しやすい性質を持っているウイルスもありますが、豚コレラウイルスは、人には感染しないウイルスです。

出典:豚コレラについて|食品安全委員会

豚コレラは、 豚やいのししの病気であって人に感染することはなく、 仮に豚コレラにかかった豚の肉や内臓を食べても人体に影響はありません。また、感染豚の肉が市場に出回ることはありません。

出典:豚コレラについて|農林水産省

通常に豚肉を食べる分にかんしては,豚コレラウイルスに感染することを気にする必要はありません.
ただ,豚コレラウイルス感染が広がることによって,飼養豚の頭数が減少し,価格高騰の懸念はありますので,今後出てくるであろうパブリックコメントに対して防疫対応と畜産品の輸出対応を考えた上でしかるべき意見を述べることが重要かとおもいます.

中国や韓国で拡大しているアフリカ豚コレラは日本で発生している豚コレラとは別ですが人間が感染する可能性はありません

中国や韓国では,アフリカ豚コレラ(African Swine Fever;ASF)が拡大しています.ASFは,日本で発生している豚コレラとは異なり,予防ワクチン接種による対策がなく,しかも豚やイノシシへの感染力が極めて強いことから畜産業への影響が強く懸念されています.
いっぽう,日本で発生している豚コレラと同様,人間に対する感染の可能性はないため,豚肉を食べることを避ける必要はありません.


とはいえ生焼けの豚肉を食べるのは危険ですからやめましょう

豚肉や豚の内臓を生の状態のままで食べると,E型肝炎ウイルスや食中毒のリスクがあります.食中毒の観点からみると,牛,豚,鶏肉の中では豚肉が最も食中毒の発生が少なく安全といわれていますが,十分な熱処理が行われない場合は危険です.

参考:豚のお肉や内臓を生食するのは、やめましょう|厚生労働省

豚肉とトマト,豚肉とキムチといった具合に豚肉と野菜を組み合わせてフライパンで焼いたり,煮たりすると美味しいですよね.価格も安価で安定しているのが豚肉の特徴.かつて長寿日本一を誇っていた沖縄県も,主なタンパク源として豚肉を多く食べていました.手軽で安全,ヘルシーな豚肉をもっと見直してもよいのかもしれませんね.(K.T.)