1月21日付のEurekAlert!に,高品質の糖質制限ダイエットと脂肪制限ダイエットが死亡リスクを下げる可能性があるという研究報告を公開して,話題になっています.
Examining low-carbohydrate, low-fat diets, risk of death|EurekAlert!
食と健康に高い関心をもつ人たちにとっては見逃せない内容となっていますので,仔細に見ていきたいと思います!
誤った糖質制限ダイエットは危険!もちろん誤った脂質制限食も!!
昨年12月に,NHKスペシャル「食の起源」に関連した記事として,医学雑誌Lancetに掲載された,誤った糖質制限ダイエットに関する論文をご紹介しました.
誤った糖質制限ダイエットは危険!死亡リスクを高めない工夫とは?【NHKスペシャル】
|食と健康 Food and Healthcare
ここでは,動物由来の高脂肪・高タンパク質の糖質制限食は死亡リスクを高めるという話題を取り上げましたが,EurekAlert!に取り上げられた今回の論文では,
さらに踏み込んで,「高品質の」糖質制限・脂質制限食は死亡リスクを下げる可能性があると述べられています.
では,「高品質の」糖質制限・脂質制限食というのは,どのような食事のことを指すのでしょうか?
死亡リスクを下げる「高品質の」糖質制限・脂質制限食って何?
論文の中では
健康的な糖質制限食
低品質の炭水化物を減らし,植物性タンパク質と不飽和脂肪酸を多く含む
健康的な脂肪制限食
飽和脂肪酸を減らし,高品質の炭水化物と植物性タンパク質を多く含む
ようなものだと記されています.
具体的には,
低品質の炭水化物→精製された穀物(白米,白パンなど)および添加糖類(added sugars)
血糖値が早く上がる
高品質の炭水化物→全粒穀物(玄米,全粒小麦,雑穀,とうもろこしなど),全粒果物など
血糖値の上昇が緩やか
植物性タンパク質を多く含む食品→大豆,豆腐,納豆,アスパラガス,ブロッコリー,枝豆など
不飽和脂肪酸を多く含む食品→ナッツ,大豆,魚など
といったところですね.
まあ,むかしから言われてきていることではありますが,体感で言うと食後に眠くなってしまうような食品群は避けたほうが良いでしょうね.
食事で血糖値が急激に変化する「血糖値スパイク」が起きると,たとえ睡眠が足りていたとしても食後しばらく経つと強烈な眠気が来ますから.
死亡リスクを下げることに食物繊維やビタミン,ミネラルなどが関与している!?
今回の論文では,高品質の炭水化物が死亡リスクを下げている可能性として,穀物などに夾雑している食物繊維やビタミン,ミネラルなどを挙げています.
あくまでも仮説ですが,精製しすぎることによって本来からだが必要としている微量成分まで摂れないといったことが現実には起こっているのでしょうね.
あまり突飛なことは書かれていませんが,自らを制限食で縛る場合にはなおさら食事内容のバランスを考慮しておかないと,命を縮めることになると思います.
制限食も,その中身に注意が必要ということですね.(K.T.)