誤った糖質制限ダイエットは危険!死亡リスクを高めない工夫とは?【NHKスペシャル】

11月24日から始まったNHKスペシャル「食の起源」シリーズ(全5回放送予定)が,科学的根拠に基づく食のホットな話題として注目されていますね.

NHKスペシャル「食の起源」

今回は,初回に取り上げられた糖質制限ダイエットについて,仔細に見ていきたいと思います!

行きすぎた糖質制限ダイエットに警鐘を鳴らした糖質摂取にかんするコホート研究

食品にはエネルギーのもととなる
・タンパク質
・脂質
・糖質
が含まれ,これらを三大栄養素と呼んでいます.

初回11月24日放送のNHKスペシャル「食の起源」第1集では,科学雑誌Lancetに取り上げられた,糖質摂取にかんするコホート研究の結果が取り上げられていました.

Dietary carbohydrate intake and mortality: a prospective cohort study and meta-analysis

動物由来の高脂肪・高タンパク質で低糖質の食事パターンは死亡リスクを高める

この論文では,

・死亡リスクの最も低い,エネルギー源に占める最適な糖質摂取量の割合は50-55%
・低糖質(40%未満)と高糖質(70%以上)のいずれも死亡リスクが高くなる
・エネルギー源を糖質の代わりに動物由来の脂肪またはタンパク質に置き換えると死亡リスクが高まる
・エネルギー源を糖質の代わりに植物由来のものに置き換えると死亡リスクが低下する

と書かれています.

具体的には,

・ラム肉,牛肉,豚肉,鶏肉などを多く摂取し,低糖質の食事パターンだと死亡リスクが高くなる
・植物由来(ナッツ,ピーナツバター,全粒粉パン)の食事パターンで低糖質だと死亡リスクが低下する

という結果が得られています.

糖質バランスの良いレシピの例:牛肉ステーキ丼

NHKスペシャルでは,毎食茶碗1杯分のご飯が最適であると示され,糖質バランスの良い具体的なレシピとして,牛肉ステーキ丼が挙げられていました.

動物由来の高脂肪・高タンパク質で低糖質の食事パターンが避けられるべき理由

一般的に,植物由来成分の摂取が少なく,動物由来のタンパク質および脂質が多い低糖質の長期的な影響は炎症,加齢,酸化ストレスを刺激するものとされています.
また,アジア諸国や経済的に恵まれない国における高糖質食では,白米などの精製された糖質の摂取が多い傾向があり,劣悪な食事パターンが死亡リスクに影響している可能性があります.

今回引用された論文にも,国際比較でありながら,一概に動物由来のタンパク質と言っても日本のデータの場合,牛肉,豚肉,鶏肉に加えて魚肉も多く含まれており,また,植物由来のタンパク質および脂質摂取を多くした糖質制限の食事パターンの母集団が少ないこともあってある程度の測定誤差は避けられないと述べられています.よって,データの解釈は慎重に行う必要がありますが,過度な糖質制限ダイエットにかんして,臨床系の権威ある科学雑誌であるLancetで科学的根拠に基づいた問題提起を行なったという意味で評価されて良いと思います.(K.T.)