豊漁が続くサバ 鮮度に注意して節度を持った食べ方を

イカの減少による記録的不漁とは裏腹に,近年豊漁が続くサバ.
関サバや金華サバといったブランドサバに限らず,脂ののったサバは美味しいですよね.
今の時期は素人がふつうに釣れるので,釣ってすぐにさばけば旬の美味しいサバを味わえます.

脂の中にDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)が多く含まれていることでも知られるサバですので,生活習慣病が気になる方々にとっても見逃せない食材のひとつと言えるでしょう.

サバは言わずと知れたDHA・EPAの宝庫

DHAは,神経細胞障害や記憶障害を軽減することが報告されています.また,EPAも血管や血液の健康維持に重要な役割を果たすことが知られています.毎日の食事の中にサバを取り入れることによって,DHAやEPAを効率的に摂取することができます.

赤肉や加工肉をサバのような高脂質の魚に置き換えることによるベネフィット

デンマーク国立食品研究所は,2019年5月に肉を魚,特にサバのような高脂質の魚に代替した食事によるベネフィットに関する研究結果を公表し,とくに50歳以上の男性および出産可能な年齢の女性にベネフィットがあると報告しています.50歳以上の男性にとってベネフィットが大きい理由は,他のグループと比べてもともと心疾患を発症するリスクが高いためで,赤身の肉の一部を高脂質の魚に置き換えることでリスクが軽減され,心疾患の予防につながったものと考えられています.また,出産可能な年齢の女性では本人のみならず,胎児の成育にも大きな効果をもたらしていると述べられています.


リスクーベネフィットを考えると食べ過ぎにも注意が必要

一方でサバには,セレンが多く含まれています.セレンには魚食由来のメチル水銀の解毒効果が示唆される一方,毒性が強く,必要量と中毒量の差が小さいため,食べ過ぎには注意が必要です.また,カロリーも高いことから,食べる量を抑えるか,食べる頻度をほどほどにして,身の丈にあった節度のある食べ方をするのが望ましいといえます.

生鮮食品だけに流通経路にも関心を

英国食品基準庁は,2010年8月にサバ科魚類の食中毒事件が多発していることに関し,適切な魚の冷蔵や衛生管理に関する助言を行なっています.保存温度が高い状態ではヒスタミンを産生する細菌が繁殖し,ヒスタミンによる食中毒を起こします.しかも加熱処理を行ってもヒスタミンは破壊されず,たとえ冷蔵であっても長期保存によってヒスタミンの量が増加することがあります.アレルゲンによるものではないため,アレルギーの有無に関わらず,状態が悪ければ誰にでも起こる可能性があるので,流通経路や衛生管理には十分気をつけて食べたいものです.ブランドサバの代表例である関サバは,徹底した品質管理に裏付けされたブランド価値にあると言えるかとおもいます.



ふだん,細かいところまではあまり気にせずに食べているサバではありますが,一線を超えると激しい食中毒を起こす可能性もあります.サバの特性をよく知ることで,賢く食べていきたいものですね.