豚熱に感染するとどうなるの!?原因は何なのか

豚熱という病気を聞いたことがある人も多くいるのではないでしょうか.

いずれにせよ,一般の方々にとってあまり関わりがない言葉だと思いますし,詳しい意味をご存じない方も多いのではないでしょうか.

一方,畜産業を営んでいる方々にとっては,たいへん重大な今日的課題だと思います.

以前は,豚コレラという名前で呼ばれていましたが,豚熱(ぶたねつ,CSF)という名称に変わりました.ブタやイノシシに感染する病気で,感染力の強い病気で,致死率も非常に高いのが特徴です.

また,治療方法がなく,感染してしまうと,濃厚接触した可能性がある豚も含め,全頭殺処分して感染拡大を防ぐしか手がないというのが実情です.


Photo by Unsplash

この記事では,豚熱についてや感染を防ぐ方法など紹介します.畜産業に関心をもつ方々のみならず,一般消費者の方々も知っておいて損はないかと思います.




豚熱の全国の発生状況

豚熱は,日本の畜産業に大きな打撃を与えている感染症です.
現在では関東や中部,近畿地方などで豚熱の発生が集中しているほか,沖縄の一部でも豚熱の感染が確認されています.

豚熱は,感染力が非常に強いことを考えると,今後,中国地方や東海地方など,まだ感染が確認されていない地域にまで感染が拡大する可能性が懸念されます.

身近な家畜の感染症として鳥インフルエンザがありますが,豚熱と同様に,一度感染が確認されると近隣の畜舎にも影響が出てしまう可能性が高く,水面下ではより甚大な被害が想定されます.

また,豚熱は日本だけに流行している豚の病気ではなく,世界中に広がっている感染症でもあります.アジアを中心に豚熱の感染が広がり,ヨーロッパやアフリカなどにも感染が確認されています.本場ドイツで製造されたソーセージの輸入が動物検疫を通らず日本に輸入できないのは,ヨーロッパ各国における豚熱の流行に伴う検疫強化の動きが背景にあるものとみられます.

しかし,米国は豚熱の浄化が完了して以降,感染が確認されていません.そのため,日本でも徹底した豚熱の感染予防を行えば,いずれ完全に浄化されることも期待できますが,現在では感染が広がっています.畜産業を営んでいる人や関係者とっても感染対策を徹底させることが求められていると思います.

豚熱はイノシシやウシにも感染する!?

豚熱は,どのような動物に感染するのかというと,そうではなく,現在確認されているものですと,ブタとイノシシだけの範囲にとどまっています.一部,ウシにも感染すると言われていますが,豚熱でウシが感染するのはアフリカ豚熱と呼ばれるもので,現在日本で感染が広がっている豚熱とは異なるものです.

アフリカ豚熱もアジアを中心に感染が広がっている病気ですが,現在の日本には感染した事例は確認されておらず,いまのところはアフリカ豚熱に感染している可能性は低いです.

しかし,畜産物の輸入によって,アフリカ豚熱のウイルスが日本に拡大する可能性も100%排除できないと思います.

アフリカ豚熱が,仮にもし,日本にも持ち込まれてしまうと,在来のブタやイノシシはもちろん,ウシにまでも影響が出てしまうことは容易に想像できます.

アフリカ豚熱は,ブタやイノシシの致死率は高いですが,ウシの致死率は限りなく低いことが分かっていますが,感染力が強いことは豚熱と同じであり,いくら死なないと言っても影響がないとは言い切れません.今後もアフリカ豚熱が日本に持ち込まれないよう,手荷物検査や動物検疫などの工程管理でしっかりチェックが機能することを願うばかりです.

豚熱に感染した豚肉食品の安全性について

豚熱に感染した豚肉の安全性について,ふだん豚を食べる方の中で気になる方も多くおられるのではないかと思います.

豚熱は,その感染メカニズムからブタやイノシシに選択的に感染する病気で,同じ哺乳動物であっても人間に感染することはありません.そのため,仮に豚熱に感染した豚を食材として摂取したとしても,食事などを通じて人間が豚熱にかかってしまうことへの心配はありません.

そもそも,豚熱が感染した出荷元から出荷された豚肉は,感染が確認された場合即座に流通がストップされるため,市場に出回ることもありません.そのため,一部の地域で豚熱の感染が確認され,同じ県産の豚肉でも豚熱に感染した肉ではなく,安心して購入し食べることができます.

しかし,どうしてもニュースなどを通じて,背景の文脈を切り落とされた事実だけを抽出して放送されてしまうと,同じ県で出荷された豚肉全体に対する印象が悪くなってしまいがちです(いわゆる認知バイアス).ひいては,消費者が手に取ることを控えてしまうことも十分に考えられるかと思います.

ここでご紹介したように,豚熱に感染した食材が流通することは基本的にないので,豚熱が感染した県産の豚肉にかんしても安全に食べることが可能です.もし,気が向くようでしたら,豚熱の問題で疲弊する畜産業を支えるという意味で,意識的に豚肉を購入してみてはいかがでしょうか.

豚熱に感染した畜肉は市場には出回らないことと,ヒトには感染しない事実が分かっていれば,もっと豚肉も購入しやすくなるのではないかとおもいます.

豚熱の感染源は何か?防疫できるのか?

豚熱はウイルスが原因で感染していく病気で,感染源となっているが,唾や涙,排泄物などといったものです.

ブタを飼育している環境は相対的に飼育密度が高いことから,密による感染が起こりやすい,典型的なウイルス性の家畜伝染病と言えます.ちなみに,豚熱に感染したブタの唾や排泄物にヒトが触れて,ウイルスが体内に入ったとしてもヒトに感染することはなく,人体に悪影響を及ぼすこともありません.

豚熱の治療方法は現段階ではありませんが,防ぐ方法にかんしては確立されています.

ヒトにおける新型コロナウイルス感染症のワクチンを想像していただくと理解がしやすいかと思いますが,豚熱の場合も同様に,ワクチン接種によって豚熱に感染してしまうリスクを下げることができることがわかっています.

感染が確認された地域では,食用豚に対して積極的にワクチン接種が進められています.しかし,豚熱は家畜化されたブタにとどまらず,野生のブタやイノシシが感染するため注意が必要です.

野生化したブタやイノシシにはワクチンを接種しないため,野生のブタが繁殖されているブタと接触することによって感染が広がるケースもみられます.感染拡大を阻止するにも,畜舎がクリーンルームのように完全に外界と隔離されてはいないことから,いたちごっこになっている状況が否めません.

一方,最近ではミニブタなどがペットとして流行していますが,防疫の観点からペット用のブタにもワクチン接種をする必要があります(K.T).



シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする