グローバル時代における多種多様な食のニーズへの対応が求められるようになってきています.
先日発表された,兵四郎ファームと農研機構のグルテンフリー対応新品種を用いた「米粉パンケーキミックス」の本格販売の動きも,世の中の食品ニーズの趨勢に沿ったものとおもいます.
グルテンへの健康影響への懸念から派生して誕生した「グルテンフリー」食品市場
パンやうどんに粘性を与えるグルテン.
多くのパンやうどんの原材料としてコムギが使われているのは,コムギの中に増粘成分のグルテンが含まれていることによります.
その一方,グルテンにアレルギーを持つ方,グルテンアレルギーへの懸念から食品からのグルテンの総摂取量を抑えたいという意識を持つ方などから,グルテンを除去したグルテンフリー素材が注目されています.また,科学的な根拠は伴わないものの,自己判断でグルテンフリーが健康やダイエットに良いと信じている人たちが世の中には一定数存在し,いわゆる「グルテンフリー」食品市場なるものが海外を中心として形成されています.
グルテンフリー対応新品種を用いた「米粉パンケーキミックス」の本格販売
既に形成されつつあるグルテンフリー市場に向けて,兵四郎ファーム(朝倉市)が農研機構と共同開発した新品種「笑みたわわ」を用いた米粉の本格販売を開始することを発表,業界内での話題になっています.「笑みたわわ」は,既存の米粉用の品種であるミズホヒカリに早生種を交配して開発したもので,同品種を用いてつくられ,既に通販等で販売している「米粉パンケーキミックス」の売れ行きがたいへん好評なのだそうです.
日本のグルテンフリー食品ニーズのベースとなるのは小麦アレルギーへの前向き対応
たしかに,兵四郎ファームをはじめ,各社から「小麦アレルギー対応商品」,「グルテンフリー」などと銘打ち,多様な「米粉パンケーキミックス」が販売されるようになりました.とくに,食品中に含まれるアレルギー物質が気になる子育て世代にとって,アレルギー物質を含む食品の摂取をできる限り抑えようというのは自然な対応でしょうし,私もアレルギーかどうかわからないものに対しては,可能な範囲で同様の対応をするとおもいます.
今後,コムギの代わりにグルテンフリーの米粉などを用いたグルテンフリー食が,美味しさの探求が進むとともにハラル食などと並んで新たな市場として伸びていくのでしょうか.
前に,こちらで函館のハラル対応で人気のお弁当をご紹介しましたが,日本国内でも海外のトレンドから周回遅れで,グルテンフリー食のブームが到来するのではないかとおもっています.(K.T.)