プラズマ乳酸菌に免疫機能を向上する効果はあるの!?そのエビデンス(科学的根拠)について考える

みなさんは,これまでに「プラズマ乳酸菌」という名前をお聞きになったことはおありでしょうか.

乳酸菌というだけあって,何がしか体に良いイメージがありますよね.スーパーマーケットの陳列棚などで目にする機会が増えてきた「プラズマ乳酸菌」には,免疫機能を向上する効果があると言われていますが,実際のところはどうなんでしょうか.

ここでは,プラズマ乳酸菌で得られる効果はもちろん,一般的な乳酸菌との違いも含めてそのエビデンス(科学的根拠)についてご紹介していきたいと思います.

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出典:キリンビバレッジ プレスリリース

プラズマ乳酸菌の免疫サポート機能(免疫賦活機能)を裏付ける実験結果

プラズマ乳酸菌は,キリンが独自開発した食品素材で,商品化に成功し,同業の各社と協働してプラズマ乳酸菌の市場拡大を図っています.

プラズマ乳酸菌というのは商品名で,厳密にはLactococcus lactis JCM 5805(LC-Plasma)といいます.プラズマサイトイド細胞(pDC)の機能を活性化するユニークな乳酸菌で,キリンホールディングス,小岩井乳業,協和発酵バイオおよび国内外の大学・研究機関による共同研究が進められてきました.

プラズマ乳酸菌の免疫サポート機能(免疫賦活機能)を裏付ける実験結果の積み重ねにより,2020年9月28日には,免疫機能で機能性表示食品として国内で初めて届出受理され,当該商品が順次発売開始されました.



出典:キリンビバレッジ プレスリリース

プラズマ乳酸菌が機能を活性化するプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)とは,ヒト末梢血単核球の1%にも満たないにもかかわらず,ウイルス感染防御の司令塔ともいえる極めて重要な細胞として認識されていました.プラズマ乳酸菌が,既存の他の乳酸菌と異なるのは,この重要なプラズマサイトイド樹状細胞の機能に対して働くということに尽きると思います.

プラズマ乳酸菌(JCM5805株)の想定作用メカニズム

化学と生物 Vol. 53, No. 9, 2015


出典:化学と生物 Vol. 53, No. 9, 2015

プラズマサイトイド樹状細胞は,免疫細胞全体の機能制御に関与していることから,様々な感染症に対する防御機能をサポートすることが期待されているのです.

言い換えてみれば,食品を通じてプラズマ乳酸菌を摂取するということは,様々な感染症に広範に効く汎用性の高いワクチンを摂取しているようなものですね.

ざっくりいうと,免疫機能は体の中に異物に相当するウイルスなどが侵入した際に撃退する働きを担う,いわば身体の防衛ラインです.免疫機能が高すぎても低すぎても身体に変調をきたします.クスリではないものの,恒常的に免疫機能を最適な状態で維持できることは,感染症に強い健康的な身体づくりにもつながりますし,すぐにインフルエンザなどで体調を崩してしまう方には特におすすめと言えるかと思います.

プラズマ乳酸菌はダイエットにもおすすめ

プラズマ乳酸菌は,ダイエットにもおすすめなことをご存知でしょうか.

プラズマ乳酸菌そのものに脂肪などを燃焼させる効果は認められていないことから,一見してダイエット効果があるようにも思えませんよね.ここでは,プラズマ乳酸菌に太る原因となる要素がないことに着目してみると良いのではと思います.

プラズマ乳酸菌は乳酸菌の一種ではありますが,味に酸っぱさがないという特徴があります.

従来から知られている,一般的な乳酸菌も同様に体に良いとされ,様々な形で商品化されています.

ただ,乳酸菌が本来持ち合わせている酸っぱさに関して好意的に感じている方は多くはないようで,多くの乳酸菌を含む商品には,酸っぱさをマスクするために,砂糖などの甘味成分を加えています.その結果,どうしても糖分も多くなってしまっています.糖分は脂肪に変換されてしまう栄養素でもあるため,多く摂取してしまうと,肥満体質になりやすくなります.その点,プラズマ乳酸菌はもとから酸っぱさを持たないため,甘味成分を加える必然性がありません.

実際,プラズマ乳酸菌を謳った商品は,カロリーゼロを押し出しているものが多いです.

摂取しすぎによる糖分の過剰摂取の心配がないことから,ダイエットをする際の水分補給としてもおすすめです.

巷には,たくさんの種類の乳酸菌を用いた商品が市販されており,健康志向が強い方々を中心として積極的に摂取しようとされる傾向にあるかと思います.

健康を考えたはずの食習慣が,結果的に多くの糖分を摂取してしまっている可能性もあることから,購入の際にはパッケージに印刷されている成分表をチェックするのがよいと思います.

プラズマ乳酸菌で免疫機能調節効果が高まるエビデンス(科学的根拠)とは何か

プラズマ乳酸菌による免疫機能調節については,既に一部ご紹介しました.

今まで免疫能力の亢進を目的とする菌株の検討は行われてきましたが,免疫機能の司令塔でもあるプラズマサイトイド樹状細胞に直接作用する乳酸菌の存在は知られていませんでした(ちなみに,プラズマ乳酸菌のプラズマとは,このプラズマサイトイド樹状細胞のプラズマからつけられています).

免疫細胞にはいくつかの種類に分けることができ,身体を守るという意味では同じ働きをもっていますが,機能するタイミングなどが異なります.プラズマ乳酸菌は,免疫機能の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞に作用することで,すべての免疫細胞に対する免疫機能調節効果が期待できます.

プラズマ乳酸菌がプラズマサイトイド樹状細胞に作用しているかどうかは,形態観察することによって明確に識別が可能です.プラズマサイトイド樹状細胞が活性化していない時は丸い形状をしていますが,活性化している時は無数の突起物が表れます.

免疫機能調節効果で食品の機能性表示がなされるようになったのはプラズマ乳酸菌が日本で初めて

これまでに,プラズマ乳酸菌には免疫機能調節効果があるということについてご紹介しましたが,それでも実際のところはどうなのか,確証が持てないと思われる方々も少なくないのではないでしょうか.

プラズマ乳酸菌自体が,最近になって発見された乳酸菌であることから,知らないが故にどうしても疑問からスタートしてしまいますよね.しかし,プラズマ乳酸菌は機能性表示食品として扱われていることを知ればより効果の信ぴょう性が高まるのではないでしょうか.機能性表示とは,開発した企業が独自の研究の結果得られた効果を示したものです.これだけでは必ずしも信憑性が高いとは言えませんが,そこから消費者庁に科学的根拠となる論文などを付した申請書類を提出し,承認されて初めて機能性表示が公に認められています.

開発元であるキリンからの開示データをはじめ,Google Scholarなどから当該論文を検索することも可能です

キリンのプレスリリースによれば,キリンの独自素材「プラズマ乳酸菌」をシリーズ化し,免疫機能の機能性表示食品のレパートリーを合計22商品まで拡大していくということです(2021.09.09付 キリンのプレスリリースより)(K.T).